2025年1月24日(金)8:30発表
日本 全国CPI2024年12月
【1】結果:ヘッドラインは大きく伸びが加速 食品とエネルギーが主因
2024年12月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品やエネルギーの上昇が寄与し、総合指数は前年同月比3.6%上昇と、前月から0.7ポイント伸びが加速する結果となりました。生鮮食品が前月から0.36ポイント上昇に寄与しており、ヘッドラインである総合指数は変動の大きい品目が指数を押し上げている現状がうかがえます。
生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は前年同月比3.0%上昇と、こちらも前月から伸びが加速する結果となりました。図表2の通り、エネルギーがコアCPIの上昇に寄与しており、政府による補助金の縮小が影響しエネルギー関連の価格の上昇が見られました。
一方で生鮮食品・エネルギーを除いた総合指数(コアコアCPI)は前年同月比2.4%と前月から横ばいとなっており、財やサービスの物価に限っては日銀がターゲットとする水準に近いあたりで推移しています。
上昇・下落品目をみるとコアCPIを構成する522品目のうち12月は390品目が上昇、40品目が下落、92品目が変わらずとなりました。物価上昇ごとに内訳を確認すると、12月は下落品目(図表3青)と2~4%未満の品目(図表3黄)がわずかに減少、0~2%未満(図表3灰色)と4%以上(図表3水色)の品目が上向いており、全体としてはバランスされている印象です。一方で、大幅な物価上昇である4%以上上昇した品目の割合に、底打ちの様子が見られる点は、懸念材料と考えられます。
【2】内容・注目点:サービスインフレは底打ち 緩やかな上昇続くか
サービスCPIは前年同月比1.6%上昇と前月から0.1ポイント伸びが加速しました。外食や教養娯楽といった品目が上昇に寄与しており、緩やかなペースながら上昇が確認できる内容といえるでしょう。図表4からもサービスインフレの底打ち感も見て取れ、賃金への波及が期待できるものと考えられます。
変動の大きい品目を除いたコアコアCPIのトレンドをみると、12月は耐久消費財の伸びに減速が見られる等から頭打ちの様子もうかがえます。一方で、上述の通りサービスCPIは緩やかな上昇基調であり、コアコアCPIをアンカーする役割期待ができ、先行きについては賃金上昇に連れる形でサービスインフレの基調は継続すると推測すれば、コアコアCPIも2%に近い水準で推移していくものと考えられます。
【3】所感:日銀政策委員の物価見通しのアップデートに注目
足元のインフレ水準は変動の大きい品目に振られている様子がうかがえます。コアコアCPI等から基調を確認すると、ある程度、日銀のターゲットとする2%に近い水準での推移が確認でき、足元ではコストプッシュによる上振れが目立ちますがオントラックで進んでいるものと推察できるでしょう。一方で、海外の物価動向やPPI(生産者物価指数)は強く、CPIの上振れ懸念は小さくないとも考えられます。
このような状況で、本日(1月24日)午後に行われる日銀金融政策決定会合の記者会見では、次回会合以降の利上げやターミナルレートに注目が集まっており、その判断材料となる日銀政策委員による物価・経済見通し(展望レポート)で先行きのアップデートに注目したいと思います。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太