さまざまな分野で記録を更新した2024年

新しい年がスタートしました。今年もよろしくお願いいたします。

思えば2024年は歴史に残る1年となりました。北半球の夏の気温は2年連続で人類史上最高を記録しました。天候不順で野菜や果物の値段は高騰し、たまらず日本でも賃上げ率は5%台に達しています。

日銀はついにマイナス金利を停止して政策金利の引き上げに動きました。日本も「金利ある世界」に踏み込んでいますが、一方では円安も進み160円台近くまで下落しています。「安い円」を目当てに日本を訪れる外国人観光客の数が記録的に増え、2025年は4000万人に乗せる見通しです。

物価の上昇は政治の世界では政権政党に不利に働きます。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、韓国と、与党が次々と選挙で敗北を喫しました。日本でも秋の衆院選で自民・公明党が過半数を割り込みました。

デフレから脱け出した日本は、日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新し初の4万円大台に到達しました。しかし米国はさらに先を走っており、NYダウ工業株は初の4万ドル乗せ、ナスダックも初の2万ポイントに乗せています。

大谷翔平選手は「50本塁打―50盗塁」を達成し、2年連続でMVPに選出されました。大相撲の人気は沸騰し、年6場所全90日で「札止め」(チケット完売)を記録しています。

2024年のヒット商品は「新NISA」

そのような記録づくめだった1年ですが、2024年を通して人気が出たのは「新NISA」です。

日本経済新聞社が発表した「2024年の日経MJヒット商品番付」で、東の横綱は大谷翔平選手の「大谷50-50」、そして西の横綱は「新NISA」でした。

主要証券10社の口座数を集計すると、1-9月にNISA口座を新規に開設した件数は前年比で2倍に拡大しました。

国内型の公募追加型投信の資金純流入額(ETFを除く)は15.7兆円に達し、年間では過去最大にまで拡大しています。「新NISA」の影響がストレートに現れました。

個人の金融資産はNISAを通じて確実に株式市場に流れています。新年もこの流れは絶えることなく続くと予想されます。数え切れないくらい唱えられてきた「貯蓄から投資へ」のスローガンが、ついに現実のものとなりつつあります。

増配を続ける高利回り銘柄

NISAを通じた個人マネーは、配当利回りの高い銘柄を多く組み込んだ「高利回り投信」が好まれる傾向があります。今回の記事ではNISAの投資対象として注目されている「増配を続けている高利回り銘柄」をご紹介します。

サンドラッグ(9989)

ドラッグストアの草分け的存在。東京都世田谷区で創業し、八王子、国立、府中を地盤に成長してきた。中部、関西、九州地方にも積極的に出店しM&A、FCも積極展開。営業利益率はマツキヨココカラ&カンパニー(3088)に次いで業界トップクラスにある。業界唯一の取り組みとして、店舗スタッフをカウンセリング販売スタッフと運営スタッフに分ける「1店舗2ライン制」を敷く。今期も最高益更新の見通しで配当利回りは3%台と高い。

【図表1】サンドラッグ(9989):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年1月16日時点)

コムシスホールディングス(1721)

キャリア向けの通信工事の大手。2003年に日本コムシスが三和エレック、東日本システム建設を統合して発足。ネットワーク構築に強く、モバイル通信では日本電信電話(NTT)(9432)をはじめ通信キャリアに広く食い込んでいる。キャリア向け売上高が約5割を占める。過去10年間で売上高は2倍、営業利益は3倍に拡大してきた。5G投資は一巡し、次世代の6G以降の立ち上がりが待たれる。その間はインフラ工事やIT構築に集中。現在は急成長のデータセンターが好調。安定した増配意向を持つ。

【図表2】コムシスホールディングス(1721):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年1月16日時点)

エレコム(6750)

パソコン周辺機器(マウス、キーボード)やスマホ・タブレットのアクセサリーを扱う。自社では製造工程を持たないファブレスメーカー。法人向け製品を強化しており、無線LANやネットワーク構築、防災・BCP関連製品、監視カメラ、クラウド構築、セキュリティ、ストレージまで手がける。2025年秋に「Windows10」のサポート終了を控えて、法人を中心にPCの買い替え需要が高まりつつある。米国を中心に海外展開も強化しており、踊り場を脱する前夜にあると見られる。増配意向の強い企業。

【図表3】エレコム(6750):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年1月16日時点)

ライト工業(1926)

旧国鉄のトンネル防水工事から事業を興す。そこから法面(のりめん、斜面の落石・地滑り防止)、地盤改良(軟弱な地盤を固化材を注入して強化)など特殊な土木工事に強い。国土強靭化、防災関連銘柄。「特殊土木のパイオニア」と称される。海外でもアメリカ(橋梁増築)、シンガポール(地中LNG貯蔵庫)、台湾(地下鉄)での工事に実績あり。実質無借金で財務健全。今期も最高益更新で増配意向がさらに高まると見られる。

【図表4】ライト工業(1926):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年1月16日時点)