八潮市の道路崩落事故が浮き彫りにした社会インフラの老朽化

1月28日に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損事故に関しては、道路の崩落事故に巻き込まれた方の安否が何よりも気遣われます。

近年、老朽化した上下水道管を巡る事故は数多く起きています。2021年10月、和歌山市で川にかかった水道橋が崩落して6万戸が断水となりました。2024年10月には北海道羅臼町で水道管が破損して、漏水した水が原因で土砂崩れが発生し道路が寸断されました。

今回の地盤陥没事故は、下水道の使用が制限された住民の数が120万人に達するなど、人口が密集する首都圏で起きたことと事故の規模の大きさによって、近隣住民の日常生活に与えた不便さではこれまでに類例を見ないものでした。

日本の社会インフラが抱える老朽化の問題がどれほど深刻な広がりをもっているか、改めて世間に知らしめる事例となったように思います。2025年3月末の時点でも復旧工事は続けられています。一刻も早い完全な復旧を願うばかりです。

社会インフラの再構築に全力を注ぐべき

国土交通省は3月17日、八潮市の陥没事故と同じような事故の発生を防ぐために、下水道、地盤、トンネルなどの安全確保のため、全国規模での特別重点調査を実施し適切な措置を講ずべきとの提言を出しました。

インフラ老朽化の問題は道路だけでなく、橋梁、トンネル、河川管理施設(水門)、港湾岸壁まで広がります。2023年3月の時点で道路橋の43%、トンネルの34%、河川管理施設の43%、港湾岸壁の32%が耐用年数とされる築50年を超えています(国土交通省調べ)。

老朽化した社会インフラの整備は日本国民にとって喫緊の課題です。しかし現状は財政の制約により遅々として進んでおりません。だからといって危険な状況を放置しておくことはできません。

ライフラインとしての社会インフラの再構築に全力を注いでゆくべきです。以下に関連する銘柄を挙げます。

土木、建築、システム…インフラを支える関連銘柄4選

日水コン(261A

上下水道を中心とした建設コンサルタント会社で、2024年10月に東証スタンダード市場に上場。株式を公開してまだ日は浅いが、創業から60年を超える歴史を持つ。国内に50ヶ所を超える事務所を構え従業員数は650人を数える。うち上下水道に関わる技術士が290人にもなる。売り上げのほぼすべてが上下水道と河川・海岸に関連する事業で構成されている。国土強靭化、災害対策の要請から業績は安定して伸び、今期も最高益更新が予想される。

【図表1】日水コン(261A):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年3月27日時点)

アドソル日進(3837

創業から50年近い歴史を持つシステム開発会社。電力およびエネルギー業界のシステム開発に強く、道路、鉄道、防災関連から航空・宇宙、情報通信、医療業界のシステム構築を数多く手がけている。近年は「社会インフラ」と「先進インダストリー」の2つの領域を中心として、大規模基幹システムから広域ネットワーク、クラウド、ビッグデータ、デバイス(センサー)までワンストップで提供している。最高益を更新中。

【図表2】アドソル日進(3837):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年3月27日時点)

安藤・間(安藤ハザマ)(1719

2013年に安藤建設と間組が合併して誕生。前身の間組は「ダムのハザマ」と呼ばれるほどの土木の名門企業。ダムに関しては黒部ダムを手がけるなど国内の施工数でトップクラスを誇る。安藤建設もプレハブ工法の先駆者として中高層ビルに強い名門企業である。合併後の現在もダム、トンネルをはじめ橋梁、地下水、地盤・岩盤などの土木工事、および物流・商業施設などの建築工事に秀でる。現在も売り上げ見通しを超える受注残を抱え業績好調が続く。

【図表3】安藤・間(安藤ハザマ)(1719):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年3月27日時点)

東亜道路工業(1882

道路舗装の大手で独立系。2030年に創立100周年を迎える。道路を舗装する際に防水効果を高めるために撒かれるアスファルト乳剤を国内で初めて開発し、日本中の道路舗装施工会社に供給した会社として知られる。現在も舗装資材の化学メーカーと道路建設の土木会社としての2つの顔を合わせ持つ。業績、財務は安定。2025年2月に株主還元の方針を変更し、それまでの「配当性向50%」から、当分の間は「同100%・DOE(自己資本配当率)8%」に引き上げている。

【図表4】東亜道路工業(1882):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年3月27日時点)