モトリーフール米国本社、2024年11月24日 投稿記事より

中南米のeコマースとフィンテックの大手企業であるメルカドリブレ[MELI]の株価は、2007年の新規株式公開(IPO)以来、6,560%を超える上昇となっています。もしIPO時に同社に1万5,000ドル投資していたら、今頃は20年足らずの間に、100万ドルの価値になっていたことでしょう。

同社は先日、堅調な2024年第3四半期決算を発表しました。しかし株価は10%下落しており、魅力的な買い場となっている可能性があります。

メルカドリブレへの投資が魅力的だと考える4つの理由

1. 中南米のeコマースの急拡大とともに成長

メルカドリブレの売上高は、過去10年間で33倍に増加しました。さらに今後10年間(そしてそれ以降)も、さまざまなメガトレンドが同社に有利に働き続けると予想されます。

おそらく最大の追い風は、中南米におけるeコマースの普及率が米国や英国、そして中国と比べて10年ほど遅れていることでしょう。

足元の普及率が低いこともあり、中南米のeコマースの市場規模は現在の1,500億ドルから、今後4、5年で50%成長すると予測されています。メルカドリブレは、中南米のeコマースというニッチ市場におけるトップの地位と先行者利益により、この成長分のうち50%超のシェアを握ると分析しています。

米国のeコマース売上高が2014年から2023年にかけて約14%成長していることを考えると、中南米市場が今後4、5年で50%の成長という予測は保守的過ぎるかもしれません。

メルカドリブレは現在、ブラジルに5ヶ所、メキシコに1ヶ所のフルフィルメントセンターを新たに建設しており、これが利益の重石となって市場の嫌気を誘いました。しかし、同社は目先の利益を確保することよりも、物流面に投資することで長期的なキャッシュフローを手にすることを重視しています。

2. 地理的フットプリントの拡大

中南米のeコマース市場の成長見通しだけでも、メルカドリブレには大きな好材料と言えます。そして、現在、同社の売上高の96%がわずか3ヶ国(ブラジル、アルゼンチン、メキシコ)からもたらされているという事実は、今後の大きな可能性を示唆しています。

これら3ヶ国以外に大きな可能性が存在することの根拠として、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドルの4ヶ国を合計した国内総生産(GDP)はメキシコと同程度です。しかし、メルカドリブレの売上高に占める割合で見ると、メキシコだけで約25%を占めるのに対し、これら4ヶ国合計で5%にもなりません。

戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるレアンドロ・クッチオリ氏は最近、投資家向けIRポッドキャストの中でこの可能性について触れ、「これらの国の中には、eコマースの普及率が依然として1桁台の所もあり、大きな可能性を秘めています」と語りました。しかし同氏は、「同時にすべてを行う」ことはできないため、これらの国に追加リソースを割り当てるには、時間がかかることを認めました。

それでも、数十年という長い視点で考える長期投資家にとって、メルカドリブレの可能性は明らかです。

3. 投下資本利益率(ROIC)の力強い改善

メルカドリブレの今後の長期的な成長余地はそれだけで間違いなく有望なことです。しかし、同社には投下資本から大きな利益を生み出す能力があり、それこそが同社が当代最高のマルチバガー銘柄(株価が100%を超えて上昇する銘柄)になり得ると考える根拠です。

2020年以降、メルカドリブレは投下資本利益率(ROIC)の上昇により、単なるグロース株から真のコンパウンダー(複利成長を続けるクオリティ企業)へと徐々に変貌してきました。

メルカドリブレのROICは18%であり、S&P500種指数構成銘柄の中でも上位20%に入る水準です。ROICが上位レベルにあり、さらに上昇しているというこの組み合わせは、株価がアウトパフォームする何よりの指標となるということを、歴史が示しています。

利益率の高い広告事業が成長し続け、巨大な物流ネットワークを拡大することで効率性が一段と向上すれば、メルカドリブレのROICは今後も高水準を維持すると考えられます。

4. 10年に1度の低バリュエーション

株価上昇の実績、今後の成長性、高水準のROICにもかかわらず、メルカドリブレのバリュエーションは10年ぶりの低水準に近くなっています。足元の株価売上高倍率(PSR)は5.3倍であり、過去平均の半分未満です。

同様に、益回り(株価収益率(PER)の逆数で、数値が高いほど割安であることを示します)は1.5%であり、2017年以降で最も高い水準にあります。

メルカドリブレの月間アクティブ購入者数の伸び率が、第3四半期に再び加速して、21%と2020年以来の高水準となったことを考えると、こうした妥当なバリュエーションはさらに魅力的に思えます。同様に、フィンテック事業の月間アクティブユーザー数と全社の売上高も、それぞれ前年同期比35%増加しました。

このような成長率、その持続を支える強力なメガトレンド、トップレベルのROICにより、メルカドリブレの足元の株価は魅力的な投資機会を提供していると思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Josh Kohn-Lindquistはメルカドリブレの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はメルカドリブレの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。