東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、大幅続落となりました。前日の米国市場でハイテク株を中心に下落したことや、金融政策決定会合にて日銀が段階的な利上げに前向きな姿勢を示したことから、ドル円相場が円高に推移し、相場の重石となりました。

前場は、576円安の38,504円で寄り付いた日経平均は、その後下げ幅を拡大する軟調な展開となりました。幅広い銘柄で売りが見られ、一時は900円を超えて下げるも前場は884円安の38,196円で取引を終えました。

後場に入っても基調は変わらず、今晩に控えた米国の雇用統計を前に、動きづらい展開となりました。引け間際に下げ幅を拡大し、最終的には1,027円安の38,053円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が5日ぶり反落、1.6%安となりました。

2.個別銘柄等

三菱電機(6503)が前日比、一時399円(16.7%)高の2,787円をつけ、急伸しました。前日に発表した中間決算にて、累積営業利益は前年同期比30.1%増の1,766億円と過去最高益を更新したことが好感されました。空調や自動車機器等の値上げや円安が業績に貢献し、また市場コンセンサスも上回る内容であったことが株価を押し上げました。

パナソニック ホールディングス(6752)は前日比、一時135円(10.9%)高の1,373円をつけ、大幅反発となりました。中間決算の累積営業利益は前年同期比12.0%増の2,160億円で、市場コンセンサスの2,000億円を上回る内容が株価材料となりました。生成AIの市場拡大に伴う、エナジー事業のデータセンター向け蓄電システム等の販売が業績に貢献しました。

レーザーテック(6920)は前日比3,860円(16.4%)安の19,615円をつけ、5日ぶりとなる大幅反落となりました。前日に発表した今期の第1四半期決算にて営業利益は前年同期比54.9%増となる159億円と大幅増益であったものの、市場コンセンサスである240億円に届かなかったことが失望売りを呼びました。また、マスク検査装置等の販売も減少し、売上高は前年同期比22.3%減と不安を残す内容も株価を下押ししました。

SCREENホールディングス(7735)は一時前日比330円(3.3%)高の10,360円をつける場面がありました。前日に発表した中間決算にて、累積営業利益は前年同期比51.1%増の582億円と概ね市場コンセンサスに沿った業績内容となったことや、通期での見通しも営業利益を85億円上方修正したこと、また年間配当も従来予想から14円増やし、247円とすること等が好感され、株価が上昇する場面がありました。同社は先端半導体の製造に用いる洗浄装置の受注が伸びているとしています。

本日決算発表をした商社株も売られました。三菱商事(8058)は前日比89円(3.1%)安の2,746.5円で引け、大幅続落となりました。中間決算での、累積当期純利益は前年同期比32.6%増の6,180億円と増益であるものの、市場コンセンサスに届かず、売られた格好です。三井物産(8031)は通期の当期純利益を200億円上方修正したことで、株価は一時プラスに転じるも前日比8円(0.3%)安の3,154円をつけ、こちらも続落となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、2.6%安の大幅続落となりました。今晩21時30分ごろ予定されている米国雇用統計を前に、ポジションが取りづらい中、市場の期待に応えられなかった決算銘柄の下落が目立った印象です。

来週に向けて、まずは今晩の雇用統計で、非農業部門雇用者数の市場コンセンサスは11.0万人とされています。しかし来週の目玉は何といっても米国の大統領選挙に注目が集まります。直近ではトランプ氏がわずかに優位とされていますが、接戦になることが見込まれ、どちらの候補が大統領となってもおかしくなく、柔軟なポジション調整が肝要と思われます。

また、来週5日から東証の取引時間が15時半まで延長され、取引の増加が期待され、出来高や流動性の向上等が見込まれます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)