【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,454.12  ▼57.88 (10/10)
NASDAQ: 18,282.05  ▼9.57 (10/10)

1.概況

米国株式市場では主要3指数が3営業日ぶりに小幅反落となりました。9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退したため、ダウ平均はわずかに下落して寄り付きました。さらに、米新規失業保険申請件数が25万8000件と予想(23万件)を上回り、景気見通しが悪化したことで、景気敏感株に利益確定売りが出て、一時203ドル超の下落となりました。一方、グールズビー米シカゴ連銀総裁はCPIの予想上振れについて「過度に懸念していない」と述べたほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「インフレ圧力の緩和が続く中、FRBは追加利下げを行うと予想される」と発言したこと等もあり、利下げが続き米経済を支えるとの楽観的な見方が広がり、引けにかけて下げ幅を縮小しました。最終的にダウ平均は57ドル安の42,454ドルで取引を終えました。また、S&P500株価指数は11ポイント安の5,780ポイント、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も9ポイント安の18,282ポイントで取引を終えています。

2.経済指標等

9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇と、前月から伸びが鈍化したものの市場予想を上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比3.3%上昇と市場予想と前回結果を上回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち3業種が上げ、エネルギーや素材、情報技術が上昇しました。一方、不動産やコミュニケーション・サービス、資本財・サービスなど8業種が下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、9銘柄が上昇し、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が1%超上昇したほか、アマゾン・ドットコム[AMZN]やセールスフォース・ドットコム[CRM]、トラベラーズ[TRV]などが上昇となりました。一方で、21銘柄が下落し、従業員のストライキの長期化に加え、債務格付けの引き下げ懸念が続くボーイング[BA]は2%近く下落となりました。そのほか、ホームデポ[HD]やスリーエム[MMM]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、インテル[INTC]が1%超下落しています。

ダウ構成銘柄以外では、ドラッグストアのシーブイエス・ヘルス[CVS]が、アナリストの投資判断と目標株価の引き上げにより、1.3%上昇しました。また、石油会社のエクソン・モービル[XOM]は、原油高で収益増が期待され、1%近く上昇しています。一方で、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は人工知能(AI)プロセッサーの次期製品を発表するイベントを開催するも投資家が求める情報は提供されず、4.0%下落しました。また、デルタ航空[DAL]は四半期決算で市場予想を下回って減益となったほか、第4四半期の見通しも弱く1.4%下落となりました。電気自動車のテスラ[TSLA]は、ロボタクシーの発表を控えるなか(日本時間で10月11日(金)11時頃)、1%近く下げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.01%低い4.06%となりました。9月の米消費者物価指数(CPI)の市場予想上振れやアトランタ連銀のボスティック総裁の「データが適切だと示せば、11月会合で利下げを見送ってもいいと考える」といった発言などを受け一時は4.12%と7月末以来の高水準を付けました。ドル円は、148円半ばで推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。そうしたなか、日経平均はドル円の動きをにらみながらの展開となりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)