モトリーフール米国本社、2024年9月17日 投稿記事をもとに一部更新して公開

近年、最初の利下げ後にS&P500種指数は同じ動きを見せている

エコノミスト達が米連邦準備制度理事会(FRB)が4年ぶりの利下げに踏み切ると予測していた通り、9月17日・18日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%の利下げを決定しました。

これまでFRBは、猛烈なインフレを鎮静化させるために2022年に利上げを開始して以降、合計11回にわたって政策金利を5.5%まで引き上げていました、これは、20年以上ぶりの高水準でした。

こうした措置は成果を上げ、インフレ率は低下しています。足元のインフレ率は2.5%であり、FRBが目標とする2%に近づいています。なぜ2%が目標なのでしょうか。FOMCはこの点について、「雇用の最大化と物価の安定というFRBの使命に最も合致しているから」としています。

このような背景から、エコノミストやトレーダーは、9月18日にFRBが政策金利を少なくとも0.25%引き下げると予想しており、中には0.50%の利下げを予想する向きもありました。株式投資家としては、FRBの動きを受けて市場がどう反応するかが気になるところでしょう。歴史を振り返ることで、ヒントが得られるかもしれません。

株式にとって利下げが大きな問題である理由

まず、株式市場全般、特に投資家にとって利下げがこれほど大きな意味を持つのか理由を考えてみましょう。金利が上昇すると、いくつかの理由から、企業利益や投資家の株式投資意欲が打撃を受けます。フェデラルファンド金利が上昇すると、個人や企業の借り入れコストも上昇するからです。

例えば、融資に頼って事業を構築している高成長企業は、借り入れコストが上昇します。その結果、潜在的な投資家はその企業が成長するための資金調達能力を懸念し、そうした銘柄を避けようとします。個人にとっても、借り入れコストが上昇すれば家計が圧迫され、支出に回せる可処分所得が減少する可能性があります。

こうした展開を目の当たりにした投資家は、このような環境に最も脆弱な銘柄への信頼を失い、若い成長企業(多くがハイテク企業)の株式を買うことをためらったり、裁量的支出に依存しているエンターテインメント業界や旅行業界から距離を置こうとするかもしれません。

さらに、株式市場全体への投資を控え、債券など、高金利環境が有利に働く投資先に関心をもつ可能性もあります。

反対に、金利が低下すれば状況が変わり、企業や個人は借り入れがしやすくなり、コストが低下します。消費者は必需品以外に使えるお金が増えます。これらはいずれも企業利益にとって明るい兆しであり、結果的に、投資家は自信をもって株式市場に資金を投じることができるようになるでしょう。

過去の利下げ開始後のS&P500種指数のパフォーマンス

では、FRBの次の動きを待ちながら、過去の利下げに対して株式市場がどのように反応したか振り返ってみましょう。以前の2回の利下げサイクルにおいて、S&P500種指数は最初の利下げから12ヶ月間で2桁の上昇となっています。2020年3月3日の利下げから1年後に同指数は27%、2019年8月1日の利下げからは10%、それぞれ上昇しました。

それ以前の利下げは、大不況(Great Recession)と住宅市場の崩壊が起こった2007~2008年に行われました。最初の利下げは2007年9月に実施されましたが、この時は、S&P500種指数が元の水準に戻るまでにかなり長い時間がかかりました。

しかし、留意すべき点として、この大不況は世界的に特に厳しい時期であったため、現在のS&P500種指数と単純に比較することはできません。

今後の株式市場にとって、これらは何を意味するのでしょうか。S&P500種指数が次にどう動くか予測することはできませんが、最近の歴史を見る限り、良好なトレンドが示されています。とはいえ、FRBが利下げを行った結果、企業や個人の借り入れ環境が一夜にして緩和するわけではありません。確かな結果が表れるまでには、数回の利下げが必要になると思われます。

しかし、明るいニュースとして、今週利下げが行われれば事態は正しい方向に進むとみられ、S&P500種指数は近年のトレンドに従い、今後1年間は上昇する可能性があります。

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