モトリーフール米国本社、2024年8月27日 投稿記事より

新型iPhoneは次のレベルへ

アップル[AAPL]が長期的に株主にリターンをもたらしてきました。アップルの株価はこの10年間に800%超上昇しており(本稿執筆時点)、S&P500種指数の180%上昇を大きくアウトパフォームしています。

しかし、この1年ほど、アップルの株主は以前よりも自信喪失に陥っているかもしれません。なぜなら、人工知能(AI)分野における競合企業の多くが目覚ましい上昇を遂げる一方で、アップル株はS&P500種指数にも後れを取っています。

とはいえ、そうした状況も近いうちに変わると思われます。アップルは先日、新製品を発表するスペシャルイベントを9月9日に開催すること明らかにしました。イベントをきっかけに、株価は上昇するかもしれません。

アップルが低迷している理由

投資における典型的な質問に答える前に、アップルが投資家から信頼を失う原因となった問題に着目してみましょう。

アップルにとって最も顕著な問題は、数年にわたって低迷している業績です。2024年6月末までの9ヶ月間の累計売上高は前年同期比で1%未満の伸びにとどまり、iPhoneの売上は1%減少しました。前年度の業績も不調で、2023年度(9月期)の売上高は前年比3%減でした。

これらの結果を、経済全体の状況と照らし合わせてみる必要があります。インフレ率は20年ぶりの高水準付近で高止まりしており、消費者はガソリン価格や食料品価格に悲鳴を上げています。こうした状況下で、消費者がiPhoneの最新モデルをあきらめ、買い替えを先延ばしするのは驚くことではありません。

アップルの株価を押し下げているもう一つの問題は、長年の支持者で株主でもあるウォーレン・バフェット氏がアップル株を大量に売却していることです。バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEOであるバフェット氏は3四半期連続でアップル株を売却しており、保有株式の56%を手放しました。バフェット氏は2023年に、「われわれが保有するどの企業よりも、たまたま優れた企業だっただけだ」と述べています。同氏はアップル株の売却は税務上の理由によるものであることを示唆しましたが、それも日和見的な投資家が同社株を売却することを止めることはできませんでした。

このような要因が重なったことがアップルの株価の重石となっていますが、それも近いうちに変わるかもしれません。

It's Glowtime(時が満ちる)

アップルは先日、9月9日午前10時(太平洋標準時)から新製品発表イベントを開催すると明らかにしました。招待状には、「It's Glowtime(時が満ちる)」と書かれていました。業界の評論家のほとんどは、アップルがiPhoneの次世代モデル「iPhone 16」を発表すると予想しています。

招待状には、アップルのロゴマークと同社のデジタルアシスタントであるSiriのアイコンを組み合わせたような画像が表示されています。このデザインを受けて、イベントで何が待ち受けているかについてさまざまな憶測が浮上しており、最新モデルには待望のSiriのアップデートが含まれるとの期待が高まっています。また、同社独自の生成AIである「Apple Intelligence」についての詳細も発表される見通しです。

これをきっかけに、アップルの株価は再び上昇軌道に乗る可能性があります。

アップルの復活

アップルの売上高が勢いを取り戻す可能性に、強気の投資家は少なくありません。

ヘッジファンドであるサード・ポイントのダニエル・ローブCEOは先日、自身のポートフォリオにアップル株を大量に追加しました。第2四半期だけで200万株近く(約4億4,300万ドル相当)購入し、現在では同氏のポートフォリオの約5%をアップルが占めています。ローブ氏は、アップルが「AIの敗者になる」という市場の懸念を一蹴し、Apple Intelligenceが同社のインストールベースからの「大きな需要」を喚起し、「今後数年間でアップルの売上高と利益は飛躍的に改善する」とみています。

投資会社ウェドブッシュのベテランハイテクアナリストであるダン・アイブス氏も同じく強気です。同氏は、最近の景気減速の結果、「世界全体で約3億台のiPhoneが4年以上買い替えられていない」と推定しています。同氏はさらに、「AIに後押しされた買い替えサイクルに繰延需要が重なり、アップルの2025年度のiPhone販売台数は2億4,000万台を上回る」と予想しています。平均販売価格を900ドル超とすると、iPhoneの売上だけで2,200億ドルを上回り、2024年の売上動向と比べて約10%増となります。アイブス氏はこの予想に基づき、アップル株の投資判断をアウトパフォーム(買い)とし、目標株価を285ドルとしています。これは、8月26日の終値を25%上回る水準です。

9月9日より前に投資したほうがよいのか

一般的に、日付に基づく投資決定は避け、優位な証拠に基づいてその銘柄に投資するかしないかを判断するべきであり、それはアップルも同様でしょう。

アップルのiPhoneは、世界で最も人気のあるスマートフォンであり、調査会社カウンターポイント・リサーチによると、2023年に世界で最も売れたスマートフォンの上位7モデルをiPhoneが占めました。世界全体で、アップル製品のアクティブデバイスは20億台を上回り、そのうち約14億台がiPhoneと推定されます。

堅調なiPhoneの売上が見込まれ、それに伴ってアプリ、サービス、付属製品の売上も好調に推移することが期待されます。ここ数年の景気減速による逆風は弱まりつつあり、新型iPhoneに買い替えようとする消費者の意欲は高まるとみられます。さらに、AIを活用した新機能は、消費者の買い替えを後押しする魅力的な動機になります。

現在、アップルの株価収益率(PER)は34倍であり、やや割高感がありますが、長い成長実績を考えれば納得できます。その上、新型iPhoneの新たな機能、Siriのアップグレード、AIを活用した新機能という3大要素をきっかけに、次の大きな買い替えサイクルと次の株価上昇トレンドが喚起される可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Danny Venaはアップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アップル、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。