8月初頭の株価暴落は強烈でした。期初から、この下期は波乱に最大限備えるべき、という趣旨の発信をさまざまな形で行ってきたつもりです。が、これほど大規模な下落が、このような早いタイミングで発生するとは想定外でした。

暴落の背景として取り上げられているのは、米国の景気後退懸念、金融政策の方向転換、これを受けた円高などです。しかし、一つ一つのニュースは、そこまで大きなものではありませんでした。

これまでの様々な市場ショックでも、下落のきっかけを一つに特定できないものが多く存在しました。1929年の世界恐慌がその筆頭格ですし、1987年のブラックマンデーもそうです。例えばブラックマンデーでは、下落のトリガーとして、日本マネーのNTT新株発行に備えた資金の本国還流、米金利の上昇、イランによる米タンカー攻撃、先物のパニック売り、「ポートフォリオインシュランス」と呼ばれるプログラム売買等、実に多くの要素が挙げられています。

そして、問題はこれからです。ブラックマンデー後は約2ヶ月間、一日に3%前後の大きな変動を繰り返し、二番底をつけた12月初旬でようやく復調に向かいました。1929年の世界恐慌も、10月末の暴落後11月半ばまでだらだらと下落が続き、同じく二番底をつけて落ち着きました。

今回も、恐らく市場の「なぜ」は続くでしょう。米国経済への不安も燻ります。個人的には、日米の金融・財政政策次第で、まだもう一度、市場の動揺が発生する可能性は否定できないと思います。

だからと言って、まるで投資を停止した方がいいと申し上げるのが趣旨ではありません。インフレと企業努力とまっとうな経済システムが続く限り、名目値で示される株価は上昇に向かうためです。これまでの市場ショックでも、下落トレンドが1年以上続いたケースは殆どなく、例外は約1世紀前の世界恐慌くらいです。今回は、米国に景気後退懸念がある一方で、もしそうであれば来年の新政権の政策も景気刺激的となるでしょうから、そこまで悲観的になる必要はないのではと思います。今後の日米の動向を注視し、次の上昇トレンドをつかみたいと思います。