モトリーフール米国本社、 2024年7月29日投稿記事より
「オマハの賢人」バフェット氏が長年選好するアメリカン・エキスプレス[AXP]
バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]は、上場株式ポートフォリオで数十社に上る銘柄を保有していますが、大きな割合を占めているのは、一部の銘柄です。それらの銘柄に着目することで、個人投資家にも参考になるアイデアが隠れているかもしれません。
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが保有する上場株式ポートフォリオの中に、過去5年間で102%のトータルリターンを上げ、発行済株式の21%を保有する金融銘柄があります。株価の勢いは続いており、2024年もS&P500指数を大幅にアウトパフォームしています。
堅調な決算内容
クレジットカード/決済大手のアメリカン・エキスプレス[AXP]は、バフェット氏が長年にわたって保有する銘柄であり、個人投資家からも注目されています。その理由の1つは力強い業績にあり、2024年も好調を維持しています。
2024年第2四半期の決済事業の取扱高は、前年同期比6%増加しました。その中で最も急成長したのは、国際カードサービスのセグメントです。これにより、第2四半期の売上高は前年同期比8%増、純利益は39%増となり、2024年の株価動向は好調です。
クレジットカード業界内で傑出した存在
バークシャー・ハサウェイの上位保有銘柄を見ると、バフェット氏が強いブランド力を持つ企業を好むことがすぐに分かります。アメリカン・エキスプレスは、まさにこの条件に当てはまります。同社のクレジットカードは、豪華な特典やポイント制度を提供するプレミアムカードと位置付けられており、富裕層の顧客を取り込んでいます。
カード保有者は、同社の業績にも大きく貢献しています。アメリカン・エキスプレスはカード保有者に高い年会費を課しています。実際、カード手数料収入は前年同期比15%増加し、24四半期連続で2桁の増加となりました。アメリカン・エキスプレスの顧客は他の銀行の一般的な顧客と比べて財務状況が良好なため、同社は競合他社よりも低いデフォルト率を誇ります。
現在、アメリカン・エキスプレスは若年層の顧客獲得に取り組んでいます。第2四半期の決算発表の中で、同社のクリストフ・カイレック最高財務責任者(CFO)は、「ミレニアル世代とZ世代の顧客の利用額は13%増加し、当社の中核である決済事業の成長を牽引しています。これらの若いカード保有者は積極的にカードを利用しており、当社の年配の顧客層と比べて平均利用額は25%超高くなっています」と強調しました。
その力強いブランド力に加えて、アメリカン・エキスプレスはネットワーク効果からも恩恵を受けています。これは、新規参入企業がアメリカン・エキスプレスと直接的に競合するクレジットカードを発行するのを抑制する効果があります。なぜかというと、新規参入企業がカードを発行しても、アメリカン・エキスプレスのように8,000万店もの加盟店で利用できるわけではなく、また十分なカードユーザー基盤もないためにホテルや航空会社といった価値のある先と提携を結ぶことが極めて難しいからです。
株価に割安感はないものの優良企業であることを重視する投資家には検討の価値あり
アメリカン・エキスプレスの株価は好調で、2023年10月末以降で65%上昇しています。同期間のS&P500種指数は、28%の上昇です。市場はおそらく米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを実施し、消費者の支出や借入が喚起されることを見込んでいると思われます。
その一方でこうした目覚ましいパフォーマンスを受けて、株価の魅力は低下しています。足元の株価収益率(PER)は18.1倍で、過去10年間の平均値とほぼ同水準にあります。この水準では、株価に割安感はありません。
しかし、これは必ずしも悪いことではありません。当然ながら投資家は、上昇余地が大きくなる、より低いPERでの購入を望むでしょう。しかし、バリュエーションよりも優良企業であることを重視する投資家にとっては、アメリカン・エキスプレスの株価水準は依然として検討の価値はがあるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アメリカン・エキスプレスは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Neil Patelと同氏の顧客は、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。