優待銘柄を中心に約100銘柄を保有する優待女子の小森さん。前編では銘柄選びのポイントや推しの優待銘柄などを聞きました。後編では、銘柄の管理方法や売った後に値を上げた後悔銘柄、節約に役立つ物価上昇対策銘柄5選&QUOカード優待銘柄などをお届けします。

個別銘柄投資でも、ほったらかしの方がうまくいく

――保有する約100銘柄の管理はどのようにされているのでしょうか。

正直、現状銘柄の管理はほとんどできていません。長期保有のスタイルで、買ったらほったらかしが基本です。私の場合、「この銘柄は株価が高くなったから売ろう」と思って売却した後に、どんどん株価が上昇していくケースが多いのです。

子どもが生まれてからは特に子育てに追われるようになり、保有銘柄をチェックする時間は大幅に減りました。株のことは忘れ、1週間何も見ないということもよくありました。でも、そのほうが短期で売買していたときより成績が良かったのです。そのため、「売らなければよかった」という後悔もなくなりました。

――売却後に値を上げた後悔銘柄の代表格は?

オリエンタルランド(4661)です。人生初の優待銘柄になります。購入後、1株→4株の比率で株式分割が行われ、100株が400株となり、その後株価が上昇したため、高値圏と判断したときに300株売りました。その後また1株→5株の比率で分割され、株価が上がっていって…。株を長く持つ大切さを改めて教えられました。また、全部売らず、100株残せたのは株主優待があったからこそだと思いましたね。

――長期保有していてよかったなという銘柄は?

電子コミックサービス大手「めちゃコミック」を運営している、インフォコムに以前から投資していました。多くの企業の株主総会は、一般的に平日昼間に多く行われていましたが、この会社は当時から平日夜の開催だったので、仕事のあとに毎年参加していました。株価が10倍、20倍に上昇しても売却せずに堪え、保有し続けました。その矢先に先日上場来最高値でのTOBとなったのです。長期保有していてよかったと思っています。

物価上昇対策銘柄:生活費の節約にもすぐに役立つ優待銘柄5選

――物価高騰が続いています。物価上昇対策として、節約に役立つ優待銘柄を教えてください。

◆物価上昇対策銘柄1「JMホールディングス(3539)」

茨城を中心に関東圏で「肉のハナマサ」などの業務用スーパーを展開しています。優待内容は100株以上の保有で、【1】2,500円相当の精肉関連商品、【2】南魚沼産コシヒカリ2キロ、【3】自社グループ商品券2,500円相当のいずれかです。私は【2】をおススメします。業務用スーパーなのでお店の品は安くて量が多いため、商品券の金額以上の価値を感じられると思います。

◆物価上昇対策銘柄2「イオン(8267)」

スーパーやコンビニなどを全国展開する流通大手としてお馴染みです。優待内容は、100株以上の保有で、半期100万円までの買い物金額に対して3%のキャッシュバックを得られます。専用カードに還元される仕組みになっています。イオンなどのスーパーが近くにあって買い物によく行く人にとってはお得度が高いでしょう。

◆物価上昇対策銘柄3「キャンドゥ(2698)」

100円ショップを全国展開する企業として知られています。優待内容は100株以上の保有で、同社店舗での買い物に利用できる2,000円相当の優待券をもらえます。物価高騰の中、100円ショップは家計の味方になるはずです。100円均一ですから、優待券2,000円分でもたくさん買い物できますよね。

◆物価上昇対策銘柄4「ヒラキ(3059)」

180円のスニーカーなど靴を中心とした激安衣料の通販事業を行っています。優待内容は100株以上の保有で、自社商品の買い物券2,000円相当がもらえます。大人から子どもまでの衣料品はどれも激安ですが、6,000円以上まとめ買いしないと送料無料にはなりません。優待特典の買い物券利用なら、6,000円以下でも送料はかからずにすむのです。

◆物価上昇対策銘柄5「シード(7743)」

コンタクトレンズメーカーの大手です。優待内容は100株以上の1年以上の保有で、自社コンタクトレンズを優待価格で購入できる優待券や、コンタクトレンズケア商品などから選択できます。コンタクトレンズ愛用者にはうれしく、お得です。

節約は、QUOカードも有効活用

――優待品に多いQUOカードも節約に役立ちします。お好きなQUOカード優待銘柄でおススメの銘柄は?

以下のような銘柄が挙げられます。

・ウィルグループ(6089)……100株以上、1年未満で500円分、1年以上で1,000円分、2年以上で1,500円分、3年以上で2,000円分

・リコーリース(8566)……100株以上、1年未満で2,000円分、1年以上で4,000円分、3年以上で5,000円分

・明光ネットワークジャパン(4668)……100株以上で500円相当、500株以上で1,000円相当、1,000株以上で1,500円相当。継続保有の場合の優遇あり。

・Casa(7196)……100株以上で1,000円相当、500株以上で2,000円相当、1,000株以上3,000円相当

優待品のQUOカードは、上場○周年など何かを記念した「記念優待」の形で出されるケースも少なくありません。その場合は一期限りで終わります。上記で挙げた銘柄のように、継続的にQUOカードを優待品としているところが望ましいと思います。

最近では、優待品のQUOカードをQUOカードPayに変更する会社もでてきました。QUOカードPayはスマホ画面でQRコードを読み取れば受け取れます。その後、即スマホを使ってコンビニなどでの買い物に利用できるので便利です。QUOカードに限らず、優待品も進化を遂げているわけです。

・メディア工房(3815)……100株以上で4,000円相当のQuoカードPay。※2024年8月より起算して1年以上継続保有の場合1,000円増

優待投資は日々の生活に潤いを与えてくれるもの

――優待株以外の投資への興味はいかがでしょうか。

高配当株も好きです。ただ配当目的で個別銘柄に集中投資するのは怖さもあるため、世界株式全体に投資をするETFにも投資しています。

コロナ禍前は優待友達と株主総会にもよく足を運んでいました。総会は経営者のお話を直接聞くことができる貴重な場です。企業によっては食事会が開催されていたところもあり、食事しながら株の話をして情報交換していました。お土産がもらえたりするところもありました。コロナ禍になって会場での総会やイベント事はすべて中止されましたが、コロナが終結した最近になって復活するところもわずかながら出てきています。今後に期待したいですね。

――新NISAの活用はどうでしょうか。

優待銘柄中心の長期運用を基本とする私の場合、非課税期間が5年で終了してしまう旧NISAは旨味を感じず、見送っていました。でも新NISAのほうは非課税期間が無制限ですから、私のスタイルにもマッチしています。今後は活用していきたいと考えています。

――最後に、投資の目標を教えてください。

私はいくら資産を築くとかの目標はなくて、好きな優待投資を楽しく続けていけたらいいなあと思っています。この気持ちは株を始めたときから変わっていません。優待銘柄を長期保有して毎年たくさんの優待品が届くことで、ちょっとした贅沢気分を味わえます。私だけでなく家族も笑顔になれるのです。また、優待品は友人・知人へのプレゼントやお返しの品に適しています。相手が気兼ねなく受け取れて、人間関係を円滑にしてくれるのではないでしょうか。私にとって優待投資は日々の生活に潤いを与えてくれるものだと思っています。

――ありがとうございました。

※本インタビューは2024年6月13日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。