過去2番目に大幅な投機円売り越し

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、7月2日現在で売り越し(米ドル買い越し)が18.4万枚に拡大した。これにより、4月に記録した17.9万枚を上回り、2024年に入ってからの円売り越しの最高を更新した(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

これまでの円売り越しの最高は、2007年6月に記録した18.8万枚。このため7月2日の記録は、それに次ぐ過去2番目に大幅な円売り越しということになる(図表2参照)。まさに投機筋による記録的な円売り拡大が続いていると言って良いだろう。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

では、このような投機筋の円売り拡大は、過去最高を更新し、まだまだ続くことになるだろうか。1つ注目したいのは、7月は過去2年連続で比較的大きく米ドル安・円高になったということ(図表3参照)。これは、夏休みが近づく中で、米ドル買い・円売りに大きく傾斜したポジションの調整が広がった影響があるとみられる。

【図表3】米ドル/円の週足チャート(2022年7月~2024年1月)
出所:マネックストレーダーFX

足下の投機筋のポジションは、過去2年以上に大きく米ドル買い・円売りに傾斜しているとみられ、3年連続で7月に米ドル買い・円売りのポジション調整が広がる可能性は注目されるところではないか。

米ドル/円は、5月頃から日米金利差米ドル優位・円劣位縮小を尻目に米ドル高・円安が広がった(図表4参照)。金利差縮小と言っても、10年債利回り差米ドル優位・円劣位が3%以上と、なお大幅な状況では、短期売買を行う投機筋からすると、米ドル買い・円売り有利なことには変わりないため、それが続いたことが大きかったと考えられる(図表5参照)。

【図表4】米ドル/円と日米10年債利回り差(2024年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジションと米ドル/円(2024年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

ただし、投機筋の米ドル買い・円売りポジションも、CFTC統計などを参考にするとすでに過去最大規模に達した。それでもまだ米ドル買い・円売りが続くのか、夏休み前でポジション調整が本格化しやすいこの7月は、一旦米ドル売り・円買いに転換することになるか。それこそが、当面の米ドル/円の行方を決めることになるのではないか。