ここ数週間、BTCに関して売り圧力の強い要因が市場に伝わりつつあります。半減期を終えて収支が悪化したマイナーからの換金売りが増えてきており、損益分岐点を上回ることができないマイナーが多いようです。

【図表1】BTC/USD 週足チャート
出所:TradingView

こちらは、BTC/USD週足チャートです。チャートのオシレータ部分がハッシュリボン点灯中の際に、赤く塗りつぶされます。このシグナルは、ビットコインのハッシュレートを日足ベールで移動平均線化したもので、基本的にはSMA30とSMA60で使います。SMA30が60を下回っている際に点灯するシグナルで、マイニング難易度が上昇後、下落に転じている際に点灯しやすい傾向があります。前回の半減期(2020年)でも、1年間に3回シグナルが点灯し、マイナーの収支計画を苦しめた現象が起きました。

収支が苦しいマイナーからの送金が5月は特に目立っており、マイニングしてデポジットはせず、外部送金が多く行われていたようです。市場への流入資金と売却資金が拮抗するどころか、売り負けている現象が起こっていると思われます。BTCはしばらく上値が重い展開が続きそうです。

BTC(ビットコイン)、1000万円を割り込んだら900万円まで続落か?

【図表2】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析から入ります。SMA90を完全に下回ってきました。サポートラインも位置する、1000-1010万円が最後の支持ゾーンとなります。1000万円を割り込めば、テクニカル的にもかなり形状が悪化するため、私自身はこの水準での買いトレードは諦めようと考えています。

ここをブレイクすると、さらなる急落を引き起こす可能性が高いため、次に買い向かうならば、880-890万円のサポートライン、あるいはSMA200(橙)からの押し目買いとなります。この水準は4月につけた安値であり、ここまで思い切って引きつける覚悟で指値注文を置いておくと良いと考えます。

MACDは0.00付近なので、再上昇すれば問題ありませんが、このタイミングでブレイクして下落すると、MACD的にもトレンドが逆方向に加速しやすい位置のため厄介です。さらなる大幅下落のリスクは日に日に高まっているのではないかと感じるため、ここからの買いトレードは控えてポジションを徐々に縮小する方向で検討する局面だと考えます。よって、今週のBTCトレードは控えめにいきたいと思います。

ETH(イーサリアム)は6月中旬から底堅い動き

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてETH/JPY日足分析に移ります。BTCの連れ安に影響して価格を下げていますが、マイナーからの売りはないため、SMA90を未だに下回っていない状況です。米国のETF承認期待も含めて、次に大きく上昇するチャンスがあるとすれば、ETHのみではないかと考えます。海外取引所のアルトコイン市況を見ていると、2024年の高値から20-50%下落しているコインも散見されます。

6月中旬以降、横ばいで推移し、資本が逃げていないのがETHです。どこかのタイミングで市場を牽引するような値動きが入るのではないでしょうか。実際に5月の上昇は、ETHがBTC含めて市場全体を牽引しました。

このBTCの連れ高の隙にマイナーからの売りが飛んできたことから市場の上値を重くしていました。ETHはこの影響が軽微であり、好材料には上昇しやすいと考えます。

MACDも0.00に到達し、日足レベルでも下髭を出現させて底堅く推移を開始しています。BTCよりも圧倒的に形状が良好です。今週もETHの買いトレード中心に回していくと良いのではないでしょうか。