金融市場ではアノマリーという言葉が使われます。
アノマリーとは、「なぜか分からないけれどもそうなる」と言う理論では説明することができない「市場の規則性」のことです。ある季節に起きやすいため、季節性という言い方ができる場合もあります。
長い歴史がある米国株式市場においてはさまざまなアノマリーが散見され、米国株の世界のアノマリーについて書かれている本もあります。
マーケットのすべての動きをアノマリーで語ることはできないものの、株式市場が確率のゲームであるということを考えると、このアノマリーによる確率の高さを無視することはできません。
例えば、今年はアメリカでは大統領選挙の年です。大統領選挙には4年サイクルがあり、それは米国が建国されてからこれまで例外なく続いています。
今年は大統領選挙4年サイクルの最後の年で、翌年大統領就任式の年が1年目となり、2年経ち、3年経つとまた大統領選挙の年となります。このパターンが、これまでずっと繰り返されてきた訳です。 これは1928年からのデータですが、そんな4年サイクルのそれぞれの年のS&P500のリターンを見てみると、大統領就任3年目の年のS&P500のリターンが最も高く、2番目は大統領選挙の年、そして大統領就任1年目、そして就任2年目といった順番となっています。
加えて、その年にS&P500がプラスになる確率を見ても、S&P500の上昇率と同じで大統領就任3年目の年が最もプラスになる確率が高いのです。その後は大統領選挙の年が2番目で、大統領就任3年目、そして最後が3年目となっています。
今年は4年間で2番目にS&P500のリターンが高い年ということですが、1年間の中でも月間のアノマリーというのがあります。6月から8月にかけての3ヶ月が1年間で最も株価の強い3ヶ月であり、加えてその3ヶ月間がS&P500がプラスになる確率も最も高い3ヶ月なのです。
いわゆる夏場に株価が高い「サマーラリー」が起きやすいのです。
このところの株価の強さはAI銘柄主導型の上昇ではあるのですが、アノマリー的にも説明ができ、そんなアノマリーには逆らわない方が良い気がします。