ついに3本すべての移動平均線を下回る
前回のコラムでは、「日米の金融政策の発表後に75日移動平均線上を維持できるかが注目ポイント」と解説しました。
また「5日、25日、75日と3本の移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、3本すべての移動平均線の向きが下向きに変化することが考えられ、下降トレンドの発生に警戒が必要になります。そうなると、38,000円を割り込んで、4月19日につけた安値に接近することも視野に入ります」と解説しましたが、日米の金融政策の発表を終えた6月17日に窓をあけて急落する展開となって3本の移動平均線を下回り、解説した通り一時日経平均は38,000円を割り込む場面がありました。
翌6月18日には反発しましたが、下向きに変化した5日移動平均線が25日移動平均線を下回るデッドクロスが発生し、ローソク足の上値を押さえているのが分かります。
このように3本の移動平均線を下回って終えていることから、本格的な下降トレンドが発生してしまうのか、あるいは38,000円をサポートに反発するのかが注目されます。反発か、本格的な下降トレンド入りか、そのカギを握るのが5日移動平均線と株価の位置関係です。
5日移動平均線を上回ることができるか
6月18日に25日移動平均線を下回ってデッドクロスが発生した5日移動平均線ですが、この5日移動平均線が株価の上値を押さえていることもあり、株価が5日移動平均線上を回復するかどうかが今後の注目ポイントになると思われます。
仮に5日移動平均線上を回復して維持するようですと、5日移動平均線が下向きから上向きに変化するとともに、株価と5日移動平均線の両方が接近する25日移動平均線と75日移動平均線を一気に上回ることが期待されます。
しかし、下向きの5日移動平均線を上回っても維持できずに押し返されたり、5日移動平均線が上値の抵抗になって下回ったままの状態が続いたりするようですと、終値で38,000円を割り込み、本格的な下降トレンドの発生が視野に入ります。
モメンタムが0ラインを突破できるか
上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回っているのが分かります。
ただ、シグナルは下向きを続けているものの、モメンタムは上向きに変化して6月18日の取引を終えています。そのため、モメンタムの上昇が続くかが今後の注目ポイントになりそうです。
仮にモメンタムの上昇が続いて0ラインを上回るとともにシグナルも上向きに変化して0ラインを突破したり、2本線ともに0ラインを上回ったまま上昇が続いたりするようですと、5日移動平均線上を回復して維持することが期待されます。
一方で、2本線が上昇しても限定的だったり、モメンタムが下向きに変化してシグナルと一緒に低下したりするようですと、5日移動平均線に押し返された状態が続き、本格的な下降トレンドの発生が警戒されるため、買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に注意が必要です。