先月、米JPモルガンのアナリストが、高成長が期待できる「米銀版マグニフィセント・セブン」銘柄を抽出してレポートしたと報じられています。去年破綻したSVB(シリコンバレーバンク)を買収したファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ[FCNCA]や、ウェスタン・アライアンス・バンコーポレーション[WAL]、ライブ・オーク・バンクシェアーズ[LOB]などが含まれています。

しかし、これらの株価は今のところパッとしません。
 
むしろ、今期、銀行業界で『マグニフィセント』な成長が期待できるのは邦銀の方では、と思います。今期の邦銀は『三拍子』そろった好環境に恵まれているためです。
 
国内では、日銀が利上げに踏み切る可能性が高まっていますし、国債買い入れ額の減額で長期金利も上昇の方向です。金利上昇は大型M&Aや投資の前倒しを招き、これに対する貸出を活発化します。一方で、米国の利下げのタイミングが遅れているため、円安が思ったより長引きそうです。メガバンクは、10年前に比べて2~4倍も円安への利益の感応度が大きくなっています。更に、国内景気は堅調で、多少の利上げがあっても、まだ景気鈍化や与信費用の大幅増には至らずに済みそうです。
 
一方で、特に地銀は、人口減少や個人業務の競争激化などの厳しい現実に直面していますから、こうした問題に果敢に取り組んでいる銀行を選ぶ必要があります。これを見極めるのは容易ではないかもしれませんが、様々なレポートや報道を読み、実際に店舗や個人投資家向け説明会などに足を運んで、経営の本気度を確かめてみては、と思います。今期の邦銀セクターにはその価値があると思います。