【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 38,712.21 ▼35.21 (6/12)
NASDAQ: 17,608.44 △264.89 (6/12)
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ開始を慎重に判断するとの見方が広がり反落となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は長期金利の低下を受けてハイテク株が買われたことで3日続伸となり史上最高値を更新しています。
ダウ平均は米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことから203ドル高でスタートすると直後に372ドル高まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むとFOMCの結果を受けて下落に転じ取引終盤には125ドル安まで下落しました。その後引けにかけて持ち直しましたが、戻し切れず結局35ドル安の38,712ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が45ポイント高の5,421ポイントとなり3日連続で史上最高値を更新したほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も264ポイント高の17,608ポイントとなり、こちらも3日連続で史上最高値を更新しています。
2.経済指標等
5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%上昇と前月から伸びが鈍化し市場予想も下回りました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年同月比3.4%上昇とこちらも前月から伸びが鈍化し市場予想を下回っています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めました。据え置きは7会合連続となります。参加者の2024年末の政策金利の見通しの中央値は5.125%と前回3月の4.625%から切り上がり、その結果年内の利下げ回数の見通しは前回の3回から1回に修正されています。さらに5月の米財政収支の赤字額は3471億ドルとなっています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち情報技術や資本財・サービス、一般消費財・サービスなどの7業種が上げ、情報技術は2%を超える上昇となりました。一方でエネルギーや生活必需品などの4業種が下げ、エネルギーと生活必需品は1%以上下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は8銘柄が上げました。そのなかでもアップル[AAPL]が3%近く上昇し前日に続いて上場来高値を更新しました。ホーム・デポ[HD]も2%以上上げ、マイクロソフト[MSFT]も2%近く上昇しています。一方で22銘柄が下げ、ナイキ[NKE]とセールスフォース[CRM]が2%以上下落しています。ダウ平均構成銘柄以外では半導体関連株が高く、半導体株ではマイクロン・テクノロジー[MU]が4%を超える上昇となり、エヌビディア[NVDA]とクアルコム[QCOM]、ウエスタン・デジタル[WDC]も3%以上上げています。半導体製造装置株ではアプライド・マテリアルズ[AMAT]とラム・リサーチ[LRCX]、KLA[KLAC]が揃って3%を上回る上昇となっています。また、英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]も8%以上上げています。さらにオラクル[ORCL]が「チャットGPT」を手掛けるオープンAIやアルファベット[GOOGL]傘下のグーグルとの提携を発表したことなどで13%を超える上昇となっています。
5.為替・金利等
長期金利は5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことから0.08%低い4.32%でとなりました。ドル円は156円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場でのハイテク株高を受けて上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の39,000円を上回りそうで、買い一巡後にさらに上値を伸ばすような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)