日米の長期金利上昇を背景に、特異的上昇だった電力株

東京株式市場は6月相場入りとなりました。5月相場では、日米の長期金利上昇を背景に金利敏感株である保険や銀行株がよく上がりました。それ以外で特徴的だったのは、海運や電力株の上昇でした。

日経平均株価やTOPIXなどの指数に方向感が見いだせない局面でよく物色される「海運」は理解できるところですが、電力株の上昇が特異だったと言えます。特に、北海道電力(9509)の上昇は目覚ましいものでした。5月だけで47%上昇と、TOPIX500採用銘柄の中では断トツの1位でした。また、4位には30%上昇の東北電力(9506)、10位には25%上昇の北陸電力(9505)がランクインしました。

いま、市場で起きていることは何か?を考えた場合、最近は歴史の長い企業の株価が相場になることが多くなっている気がします。大化けまではいかずとも、ある一定期間で相場になるケースです。5月の電力株の上昇もその一環なのかもしれません。

大化けする相場の特徴とは?

最近の最も顕著な例が、三菱重工業(7011)です。三菱重工業の株価は1989年のバブル時に1,250円の天井をつけ、バブル後の安値が2020年10月の223.5円でした。2020年10月までは高値と安値を切り下げる完全な弱気相場だったのですが、2024年3月には1,448.5円まで上昇し、3年半の間に約6.5倍に大化けしました。

これは極端な例ですが、2023年大きく上昇した神戸製鋼所(5406)なども歴史の長い企業の株価が相場になった典型的な例です。北海道電力は5月の大幅高によって、2015年の戻り高値を更新する中期強気シグナルが点灯しました。三菱重工業は2015年高値を超えた後の調整一巡後に上昇が加速した経緯があります。

バブル時の大天井から高値と安値を切り下げている銘柄には2013年や2015年に戻り高値をつけている銘柄が少なくありません。そこを超えたのか超えていないのか、まだ超えてないがこれから超えるのか、といったところが狙い目になるのでしょう。

これからも歴史の長い企業の株価が、材料を内包しながら断続的に上昇するケースが増えてくるはずです。そのような時代に入っている気がします。最近、チャートを見て発見したのが野村ホールディングス(8604)です。2024年の証券株は野村ホールディングスを含めよく上昇しましたが、バブル時の高値からの長いチャートを見ると、2013年の高値を超えたばかりでチャンスがありそうにも見えます。小売株でいうと高島屋(8233)などもその部類になるでしょう。

今後起こりうる事象が何となくわかってきたような気がします。歴史の浅い新興株が上がらない理由は、このような時代背景だからなのかもしれません。