月初は重要指標の発表が目白押し、注目は日本の統計
名実ともに6月相場入りした今週は月初とあって重要指標の発表が目白押しだ。海外では、3日に各国のPMIが発表される。中国では財新製造業購買担当者景気指数 (PMI)、米国ならびに欧州の製造業PMI(改定値)、そして米国のISM 製造業景気指数の発表がある。4日には米国でJOLTS求人件数、製造業新規受注、5日にADP全米雇用レポート、ISM非製造業景気指数、そして週末には米国の雇用統計の発表を控える。
しかし今回の注目は日本の統計だ。5日に毎月勤労統計が発表される。今回発表される4月の統計では、まだ今年度の賃上げ分はほとんど反映されていないだろう。それでも、実質賃金が少しでも改善する兆しのようなものが見えるだけでも相場の材料になり得る。インフレのほうは着実に低下している。毎月勤労統計調査では、消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」でデフレートし実質賃金を求めているが、4月の前年同月比は3月の3.1%より低下し2.9%。実質賃金がプラスに浮上するのは無理としてもマイナス幅縮小は期待できるだろう。
そうなった場合の相場の反応は読みにくい。素直にgood newsと株式市場はポジティブに反応するか、日銀の金融政策正常化の支援材料と捉えて金利が上昇した場合は売り圧力が強まるか、どちらもあり得るだろう。
懸念材料は国内長期金利の上昇
引き続き株式相場の懸念材料は国内長期金利の上昇だ。長期金利は週後半に一時1.100%と2011年7月以来およそ13年ぶりの水準にまで上昇した。
今週は4日に10年債、6日に30年債の入札がある。日銀は6月の長期国債買い入れ予定について、5月から変更しないと発表したが、その先の日銀スタンスについて市場の疑心暗鬼は続き、10年債と30年債の入札に対する警戒感は強い。長期金利に上昇圧力がかかりやすい展開が続き、それが株式市場の上値を抑えるだろう。
もっとも金利上昇を受けて銀行・保険などのセクターは買われている。これら金融株が支えとなってTOPIXは日経平均に比べて堅調だ。
波乱材料となり得るECB 理事会やナスダックのチャートの形状に警戒
今週は、来週11-12日に開催されるFOMC、13-14日に開催される日銀金融政策決定会合を前に様子見機運が強く、基本的には一進一退の展開と思われる。そうしたなか、波乱材料となり得るのが、6日に予定されるECB 理事会だ。今回の会合では利下げに踏み切る可能性が高いが既に織り込み済み。一方、欧州の景気の強さから年内利下げ回数の見通しが後退する可能性があるので注意したい。
もう一つの警戒はナスダックのチャートの形状だ。ナスダックは、安値圏からの反発を窺うダウ平均とは反対に、高値圏にあるが先週末は長い下ヒゲを引いた。その下ヒゲは25日移動平均にワンタッチして切り返している。下値を探りに行く動きが出ているのは確かだ。ナスダックもエヌビディア1銘柄でもっているようなものだから、いったん崩れると大きな調整が入る可能性がある。
予想レンジは3万7800円~3万9200円とする。