下向きの25日移動平均線を上回る
大型連休明けの東京市場は、連休中の米国市場の上昇を好感して大幅高でのスタートになりました。5月7日は窓をあけてスタートし、取引時間中に伸び悩む場面があったものの、取引終了にかけて盛り返し、下向きの25日移動平均線をわずかに上回って終えているのが分かります。
前回のコラムでは、「75日移動平均線上を維持するようですと、下向きの25日移動平均線を上回ることが視野に入るとともに、上向きの5日移動平均線がサポートになって75日移動平均線を上回り、ゴールデンクロスが発生して25日移動平均線上を回復するなど、上昇トレンドの発生が期待されます」と、解説しました。
そして解説した通り、75日移動平均線上を維持することができたため、下向きの25日移動平均線を上回ることに繋がったと考えられます。そのような中、日経平均は特徴的な形を作っているのが分かります。
トリプルトップのリターンムーブが発生か?
その特徴的な形とは、図表のチャートに丸で示したトリプルトップと呼ばれるものです。トリプルトップとは、株価が天井をつけるときに発生する形で、3つの高値を形成するとともに高値と高値の間の安値と安値を結んだ水準(=ネックライン)を下回るとトリプルトップが完成するとされています。
今回はそのトリプルトップが完成した後に反発して下向きの25日移動平均線をわずかに上回って終えているわけですが、これはまだ警戒が必要な状況が続いていると言えます。
なぜなら、トリプルトップの完成後の反発には「リターンムーブ」と言うものがあり、この「リターンムーブ」が発生すると、その後株価が再度下落に向かうと考えられているからです。
「リターンムーブ」とは、トリプルトップが完成した後に反発するものの、前述のネックラインを上回ることができずに押し返される形を言います。今回の反発を見てみると、下向きの25日移動平均線を上回っているものの、ネックラインには届いておらず、まだ警戒が必要な状況であると言えるのです。
25日移動平均線上を維持できずに押し返されるとともに75日移動平均線や5日移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、再び38,000円を割り込んで4月19日につけた安値に接近したり、割り込んだりすることが考えられるため注意が必要になるのです。
モメンタムの上昇が続くか要注目
そのような中、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回って上昇が続いているのが分かります。
そのため、2本線の上昇が続くかが注目ポイントになります。仮に2本線の上昇が続くようですと、25日移動平均線上を維持することや、反落しても75日移動平均線や5日移動平均線上を維持することが考えられます。
その反面、下向きに変化して低下したり、0ラインを割り込んで低下が続いたりするようですと、25日移動平均線を割り込んで、75日移動平均線や5日移動平均線に接近したり、割り込んで戻せなくなることが視野に入るため注意が必要です。反発局面が続く日経平均株価ですが、「リターンムーブ」の発生に注意し、今後の売買判断に役立てたいところです。