2024年4月30日(火)23:00発表(日本時間)
米国 コンファレンスボード消費者信頼感指数

【1】結果:予想を下回り、1年9ヶ月ぶりの低水準に

4月の米消費者信頼感指数は97.0を記録し2022年7月以来の低水準に低下しました。また6ヶ月後の先行きを見通す「期待指数」も66.4に低下し、粘り強いインフレを背景に消費マインドが落ち込みつつあることを示しています。

【図表1】米国消費者信頼感指数結果まとめ
出所:The Conference Boardよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:食品・ガソリン価格の高騰を受け消費者マインドが低下

米消費者信頼感指数とは、全米産業審議委員会が5,000人の消費者に対して、現状と6ヶ月後の景況感についてアンケート調査を行い、その調査を基に消費者のセンチメントを指数化したものです。米国では、個人消費がGDPの約7割を占めることから、消費者マインドの動向を確認できる消費者信頼感指数に注目が集まっています。

今回、消費者信頼感指数が市場予想・前回結果を下回り、2022年7月以来の低水準に低下したことから、徐々に米国の消費者の消費マインドが落ち込みつつあることがわかります。また、こうした消費マインドの低下の原因は、食品やガソリン価格の高騰の懸念による影響が大きいと報告されています。

【図表2】消費者信頼感指数の推移
出所:Bloombergのデータを基にマネックス証券作成
※ シャドーは景気後退期

内訳をみると、現状指数は、4月は142.9と3月の146.8からは低下したものの、比較的楽観的な水準を保っています。一方で、6ヶ月先短期見通しに基づく「期待指数」は、66.4と前回の74.0からに低下しました。一般的に期待指数が 80 を下回ると今後の景気後退を示唆していることが多いとされるため、今後の先行きが懸念されます。

しかし、これに対し全米産業審議委員会チーフエコノミストのダナ・M・ピーターソン氏は、「総合指数は下落しているものの、現状に対する楽観的な見方が将来に対する懸念を補って余りあるものとなっている」と述べています。実際、先日公表された3月の小売売上高が好調な結果を示していることから、足元の消費状況に陰りはまだ見えていません。

【3】所感:スタグフレーションへの警戒感が浮上、5月FOMCに注目

4月26日の米国市場は、同日公表の雇用コスト指数が市場予想を上回る伸びとなったことで賃金インフレを警戒した売りが出て、3日ぶりの反落となりました。インフレ懸念が高まる中、今回消費者マインドが低下していることを示す結果が出たことで、スタグフレーションの懸念が徐々に広がりつつあります。

今回の報告書を細かくみると、金利に敏感な家や大型家電の購入計画は6ヶ月続けて減少していることがわかります。

また、労働市場に対する見方も弱まりました。以下の図表の通り、「雇用が十分にある」という回答が減る一方で、「職を得るのは困難」という回答が増えています。

【図表3】「雇用が十分にある」と「職を得るのは困難」の回答の差の推移
出所:Bloombergのデータを基にマネックス証券作成
※グラフが下がるほど、「職を得るのは困難」と回答した人が多い

現状のインフレは、堅調な労働環境を背景としたサービスインフレが問題となっているため、労働環境の多少の悪化は中央銀行の望む結果ではあります。また消費者の消費選択を見ても金利に敏感な消費が減っており、一部では政策金利を高く設定している効果が着実と見られます。しかし、政策金利の調整では制御が難しい中東情勢不安による供給側の問題もあり消費の過度な落ち込みには警戒が必要です。

直近の情勢について金融政策当局がどのように考えているのか、5月1日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目です。

フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐