モトリーフール米国本社、 2024年4月21日投稿記事より
オマハの賢人は分散投資しないのか?
金融アドバイザーの多くは、個人投資家に対して分散投資をしたほうがよいとアドバイスします。彼らはジョン・テンプルトン卿の「分散投資は安全性を高める上で必要不可欠だ。われわれは自らが間違う可能性を認める謙虚さを持つべきである」という考え方に賛同しています。
しかし、ウォーレン・バフェット氏は分散投資をあまり好まないようです。バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の3610億ドルに上るポートフォリオの約68%が、わずか4銘柄に投資されているのです。理由を見てみましょう。
バフェット氏のビッグ4
バークシャー・ハサウェイは、アップル[AAPL]の株式9億500万株超を保有しており、その価値は1520億ドルを上回ります。アップルだけで、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの42%を占めています。バフェット氏(または2人の投資マネジャーのどちらか)が2023年第4四半期にアップル株を一部売却する前は、もっと高い割合を占めていました。
バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中で2番目に大きなポジションを占めるのは、バンク・オブ・アメリカ[BAC]です。現在は10億3000万株で約364億ドルの価値があり、ポートフォリオ全体の10%強を占めます。
バンク・オブ・アメリカに僅差で続く第3位はアメリカン・エキスプレス[AXP]で、約1億5160万株で330億ドルに達し、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの9%強を占めています。
第4位はコカコーラ[KO]で、バークシャー・ハサウェイは4億株、約234億ドル相当を保有しており、ポートフォリオの6.5%を占めています。
アメックスとコカコーラは「無期限保有」
アップル、バンク・オブ・アメリカ、アメリカン・エキスプレス、コカコーラの他にも、バークシャー・ハサウェイは40以上の銘柄を保有しています。しかし、バフェット氏がこれら4社に集中投資するのには、いくつかの理由があります。
最も重要なのは、バフェット氏が各社の事業に確信を持っていることです。バークシャー・ハサウェイの2023年の年次株主総会で同氏は、アップルは「われわれが保有するどの企業よりも優れた事業だ」と評しました。リーダーシップも重要です。同じ株主総会でバフェット氏は、「バンク・オブ・アメリカと、その経営陣を気に入っている」と述べました。
同氏はバークシャー・ハサウェイの株主に宛てた2024年初めの書簡で、「無期限に保有する」と思われる銘柄としてアメリカン・エキスプレスとコカコーラを挙げ、「本当に素晴らしい事業を見つけたら、保有し続けることだ」と説明しました。
コカコーラとアメリカン・エキスプレスは、バフェット氏が最も長く保有している銘柄です。長い保有期間の間に株価が大幅に上昇し、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中で大きなポジションを占めるに至りました。同氏はさらに、アメリカン・エキスプレスの2023年の利益のうちバークシャー・ハサウェイの取り分は、「はるか昔にアメリカン・エキスプレス株の購入に費やした13億ドルを大幅に上回る」と書簡の中で述べています。
バークシャー・ハサウェイがアップルとバンク・オブ・アメリカの株式を初めて購入したのは、それぞれ2016年と2017年です。それ以来、アップルの株価は6倍以上に上昇しました。バンク・オブ・アメリカは、株価の上昇率はそれほどではありませんが、配当という形でバークシャー・ハサウェイに大きなリターンをもたらしています。
バフェット氏「分散投資は6社で十分」
1998年に、バフェット氏はフロリダ大学の学生を相手に、分散投資に関する自身の哲学を次のように語りました。「事業を本当に理解していたら、6社より多くに投資するべきではない。6社の素晴らしい事業を見つけることができれば、それで十分に分散投資であり、大きな利益が得られるはずだ」。
バフェット氏を真似て、少数の銘柄に集中投資するべきでしょうか。それには、バフェット氏が挙げる2つの条件を満たしている必要があります。
1.その企業の核となる事業について完全に理解していること
2.「素晴らしい事業」を見つけること
伝説の投資家であるバフェット氏にはもう1つ、見落とされがちですが重要な言葉があります。「もし、自分がプロの投資家ではなく、資金を運用して世間よりも大幅に高いリターンを得ることを目標としなければ、高度な分散投資を信じる」。
結局のところ、バフェット氏は多くの金融アドバイザーと同じ考えを持っているのです。ほとんどの投資家にとって、分散投資は有効な手段と言えます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。アメリカン・エキスプレスは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Keith Speightsは、アップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。