2024年3月19日(金)8:30発表
日本 全国CPI

【1】結果:概ね市場予想通り、総合指数は2年連続で2%超えに

総合指数 +2.7%(+2.8%)
生鮮食品除く総合 +2.6%(+2.7%)
生鮮食品・エネルギー除く総合 +2.9%(+3.0%)
(前年比%、カッコ内はBloomberg集計による市場予想の中央値)

2024年3月の全国消費者物価指数は、概ね市場予想通りの結果となりました。変動の激しい生鮮食品を除く総合指数(以下、コアCPI)、生鮮食品・エネルギー除く総合指数(以下コアコアCPI)ともに、2%後半で推移しておりインフレが浸透してきていると考えられます。

【図表1】消費者物価指数の推移(前年比%)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:エネルギーのマイナス寄与が縮小傾向に

コアCPIの変動要因としては、エネルギーの寄与が2024年に入ってからマイナス幅を縮小しており、指数を押し上げました。エネルギーについては、政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業によって押し下げられていましたが、直近ではその幅を縮小しています。

一方で生鮮食品除く食品については、価格の高騰が落ち着き、少しずつ低下していることがわかります。それらが相まって、物価は緩やかに下降しています。個別の項目に着目すると、宿泊料などの教養娯楽サービスが前年比で+9.4%など、サービス価格の上昇も見られています。注目点としては、エネルギー価格のプラス寄与と、円安の進行から主に食品関連での輸入価格が高騰することなどが挙げられます。

【図表2】コアCPIの寄与度分解
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:好循環と判断される可能性が大きく、早期の利上げも視野に

CPI・コアCPIともに日銀がターゲットとする2%を超えて推移していることもあり、市場では政策金利の引き上げタイミングが早まるのではないかとの意見が散見されます。賃上げも進んでいることから、利上げの素地はでき始めているといった理由によるものです。

また直近4月18日に行われた植田総裁の記者会見では、円安による物価高が無視できないものであれば、政策変更もありうるといった発言がありました。ある程度、政策金利が上昇することを見込んだ準備が必要であると考えられます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太