モトリーフール米国本社、2024年4月14日投稿記事より

投資には批判的視点と、過去の連勝を疑う必要

いわゆる「マグニフィセント・セブン(※)」銘柄が投資界を席巻しています。各社ともそれぞれの業界を支配し、破壊的可能性を秘め、ここ数年で株価は急上昇しています。

黎明期からのインターネット企業の1つであるアルファベット[GOOGL]もその中の1社です。アルファベットの株価は、過去10年間に500%近く上昇しており、時価総額は2兆ドル弱に上ります。

これまでのモンスター級のパフォーマンスは、アルファベット株が今や売り時であることを意味するのでしょうか。同社の事業と株価について詳しく見てみましょう。

複数の長期トレンドから恩恵

アルファベットの2023年売上高は3070億ドルであり、今後10年間でさらに市場シェアを獲得するだけの成長を維持し続けるのは無理ではないか、と考える人もいるかもしれません。しかし、事業を深く知れば、すぐに楽観的になれるでしょう。

売上高の大半はデジタル広告によるもので、アルファベットがこの業界をリードしています。調査会社グランド・ビュー・リサーチによると、デジタル広告市場の規模は2022年の3650億ドルから、2030年には1兆ドルを超えると予想されています。

アルファベットのデジタル広告売上は、主に2つのルートからもたらされています。グーグル検索は、検索市場で91%を超えるシェアを誇り、インターネットを利用する人が増えるほど、広告売上も増加します。動画配信サービスのYouTubeも25億人のユーザーがいると推定され、大きな広告収入源となっています。

アルファベットがストリーミング競争の主力プレーヤーであるのは、YouTubeのおかげです。米国では毎日、YouTubeの視聴時間はネットフリックス[NFLX]の視聴時間を上回っています。これは、あらゆる視聴者の興味に応えることができるコンテンツの作成という点で、ユーザーによる動画制作モデルに優位性があることを示しています。

また、あまり注目されていませんが、グーグル・クラウドのセグメントも忘れてはいけません。同セグメントの売上高は、前年比20%を上回るペースで着実に伸びています。また、2023年には、年間を通じて営業損益も黒字を計上しました。

アルファベットはこれまで、投資家に大きなリターンをもたらしてきました。製品やサービスが高い人気を維持しているおかげで、今後も長期的に増収増益が見込まれます。

AI搭載の検索有料化の是非

人工知能(AI)の台頭は、脅威であると同時に商機でもあります。批評家は、ユーザーが質問に対して明確な答えを得られるようになるため、従来のグーグル検索は終わりを迎えると指摘しています。人々が検索結果をスクロールする時間が少なくなれば、広告ニーズも減少します。

アルファベットがAIを搭載したグーグル検索を有料化するという報道があり、同社にとっては金の卵と言えるでしょう。一方でこれは、同社の支配的地位が揺らぎ始めている兆候とも考えられます。

そして、同時に先を見越して、消費者により多くの選択肢を提供するための経営陣による賢明な戦略的決断と見ることもできます。AIと関連インフラを運用するための膨大なコンピューティング費用を考えると、アルファベットはそうしたコストをユーザーに転嫁しようとしているだけかもしれません。検索ニーズにおいてAI機能に価値があると判断すれば、ユーザーは対価を支払うでしょうし、アルファベットにとっては新たな経常的収入となります。

PERは「わずか」23倍

さまざまな長期トレンドが追い風となっていることに加え、AIに対する先進的アプローチを考えると、アルファベット株を保有し続ける理由は十分にありそうです。しかし、これからアルファベットに投資しようと考えているのであれば、足元のバリュエーションを考慮する必要があります。割高な株価で購入したら、将来リターンは期待外れとなる可能性があります。

一方で、アルファベット株の売却を考えているとしたら、足元の予想株価収益率(PER)がわずか23.3倍である点を考慮するべきでしょう。従って、現時点においてアルファベット株はバイ・アンド・ホールド銘柄だと思われます。つまり、新規の投資家も既存の投資家もリターンが期待できそうだということです。

(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]の7銘柄

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Neil Patelと同氏の顧客は、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、ネットフリックスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。