2024年4月12日(金)13:30発表
日本 2024年2月の鉱工業生産指数

【1】結果:生産・出荷・在庫率の3指数が速報値から若干の下方修正、基調としては変わらず

【図表1】鉱工業指数(季節調整済、2020年=100)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

速報値から、生産・出荷・在庫率が小幅に下方修正する結果でした。2月についても、生産・出荷ともに自動車関連における工場稼働停止の影響が継続していることから、2ヶ月連続での低下となっています。一方で、先行きの3・4月の生産計画は上昇が見込まれており、基調判断は「一進一退ながら弱含み」のまま据え置かれています。

【2】内容・注目点:依然として、自動車関連の生産は縮小

鉱工業生産指数は、速報値よりも0.5ポイント下方修正となりました。1月の公表から言及されていた、自動車の生産については今回では下げ幅を縮小するも依然としてマイナス寄与(-1.03%ポイント)であることが示されました(図表2)。出荷についても同様に、マイナス1.15%ポイントマイナス寄与しています。

【図表2】鉱工業生産指数 前月比寄与度
注:寄与度については季節調整を理由に全体の合計値が一致しない場合があります。
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

また、出荷の弱まりと在庫の上昇も確認できます(図表3)。景気循環の観点で、在庫の積み上がりは、需要の減退を示唆するものとされています。現時点では、生産・出荷ともに上述の自動車関連を理由とした一時要因であることがコンセンサスとなっていますが、在庫の動向には注視が必要です。今後も在庫の積み上がりが確認できるようであれば、需要サイドでも弱さが示される可能性があります。

【図表3】鉱工業出荷指数、鉱工業在庫指数の推移(2020年=100)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:自動車産業の回復は想定以上に時間がかかる可能性

先行きについては、向こう数カ月で生産指数は100を超えて回復する見込みが経産省からも示されています。一方で、4月の今の時点でも回復はしているものの、自動車産業では依然として生産ラインの稼働停止やその延長が報道されていることもあり、予想通りには回復しない可能性があり、注意が必要です。

また、生産や出荷が縮小している中で、在庫が横ばいである点も、懸念事項の1つと言えるでしょう。在庫も変わっていないことから、需要が弱いことが窺えます(図表4)。3月の鉱工業生産指数(速報値)の発表は、4月30日の予定です。

【図表4】自動車の鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太