モトリーフール米国本社、2024年3月20日投稿記事より

バフェット氏の大きな賭け、持ち分を4倍に引き上げ

バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のウォーレン・バフェットCEOは、世界で最も動向が注目されている投資家の1人です。オマハの賢人とも呼ばれる同氏は、優良企業の株式を購入し、長期にわたって保有することで莫大な富を築いてきました。

バフェット氏の投資先としては、コカコーラ[KO]、アップル[AAPL]、アメリカン・エキスプレス[AXP]などが有名です。これらの企業はいずれも、世界的に知名度の高いブランドであり、多くの忠実な消費者から支持を集めています。

バークシャー・ハサウェイが提出した最新のフォーム13F(保有銘柄の報告書)から、バフェット氏が前四半期に取った興味深い動きが明らかになりました。以下では、バフェット氏が大量購入した銘柄の1つについて掘り下げます。

証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、バークシャー・ハサウェイは衛星ラジオ企業のシリウス・エックスエム・ホールディングス [SIRI]の株式3,055万9,834株を追加購入しました。それまで同社は、約1,000万株のシリウス・エックスエム株を保有していました。バフェット氏が大量に追加投資するとは、シリウス・エックスエムにはどんな魅力があるのでしょうか。

シリウス・エックスエムには多くの魅力

バフェット氏の投資哲学は驚くほどシンプルです。バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの大半は、着実で予測可能な成長を生み出し、それぞれの市場でトップブランドとしての地位を確立している優良企業で占められています。

シリウス・エックスエムも、これらの特徴を持っています。同社は北米最大の衛星ラジオ運営会社です。さらに、従来の地上波ラジオと異なり、シリウス・エックスエムは収入の大半を契約料から得ています。

市場をリードするブランド力により、シリウス・エックスエムは価格決定において大きな影響力を持っています。同社にとって、広告は主な売上要素ではありませんが、出稿企業側はシリウス・エックスエムが持つ3,400万人の契約者に少しでもアピールしたいと考えています。

経常的な契約料収入に加えて、待っていても広告収入が入ってくるとは、なんという魅力的な事業なのでしょうか。しかし、シリウス・エックスエム株に飛びつくのはまだ尚早です。

リスクは契約者減

3,400万人の契約者がいるとはいえ、シリウス・エックスエムは顧客の定着が課題となっています。契約者数は減少傾向にあり、現在はコロナ前の水準を下回っています。

これは驚くことではありません。コロナ禍は企業環境にまったく新しい変化、リモートワークをもたらしました。毎日車で通勤する人が減少したことを考えれば、ほとんど聞かなくなったシリウス・エックスエムを解約する人がいるのは当然です。

また、長引くインフレや高金利といったマクロ経済的要因も、消費者が支出を抑える原因となっています。サブスクリプションサービスは、予算を切り詰めようとする時に真っ先に削減されやすい分野です。

契約者数の減少は、シリウス・エックスエムの最大の収入源に影響を及ぼしているだけでなく、利益の減少にもつながっています。減収減益と聞いて、投資家は心穏やかでいられないでしょう。

成長回復への道にも疑問符

その上、シリウス・エックスエムはここ数年、消費者の気を引くために、ポッドキャストの独占権の取得に多額の資金を投じています。スポティファイ・テクノロジー[SPOT]が同様の戦略で事実上失敗したことを考えると、シリウス・エックスエムのやり方には戸惑いを禁じ得ず、無責任とも思えます。

足元で、シリウス・エックスエムの予想株価収益率(PER)は12.5倍です。これは、S&P500指数の予想PERと比べると大幅に低い水準ですが、正当なディスカウントと言えます。

シリウス・エックスエムがバリュー投資のチャンスであるという見方もあるかもしれません。しかし、成長回復へのロードマップが不透明で、マクロ要因も事業にとって逆風であることを考えると、シリウス・エックスエムの株価が順風満帆に推移するとは思えません。

バフェット氏が有名ブランドと安定成長への投資を好みますが、シリウス・エックスエムは現時点でリスクが高過ぎるように思えます。消費者としてシリウス・エックスエムとの契約を続けるのは構いませんが、投資家としてバリュー銘柄に投資するなら、別の企業を探す方が良いかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アメリカン・エキスプレスは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Adam Spataccoは、アップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バークシャー・ハサウェイ、スポティファイ・テクノロジーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。