今月の金融市場で最も盛り上がった出来事と言えば、日経平均が史上最高値を更新したことでしょう。前回の高値は1989年。私はまだ20代の銀行員でした。

35年経って、ようやく日本株も新たな局面に入ったということでしょうか?

日経平均史上最高値更新に、あまり意味はない

ただ、実は日経平均の数字自体には、あまり意味はありません。その理由は、そもそも日経平均は日本経済新聞社が選んだ225銘柄の単純平均に過ぎず、銘柄入替によって指数としての一貫性に欠けているからです。

また、配当が考慮されておらず、配当込みであれば既に最高値を更新しています。日経平均の史上最高値の更新は日本株の好調を示すシンボリックな意味合いでしかないのです。

株価の高騰を過度に恐れる必要はない

日経平均最高値更新と共に、日本の株価に対する高値警戒感も広がっています。現在の株価水準はバブルだとし、これから株式投資を始めるのは危険だと警告する専門家も出てきています。

私は、年初からの急激な上昇に対してスピード調整としての下落はあるかもしれませんが、現状の株価水準が割高だとは考えていません。今回の日本株の上昇は、複数の要因が重なり合って実現しているものと考えています。

その要因は、まず日本企業の経営改革が始まっていることです。2023年3月に東証からの資本効率改善要請があって、多くの上場企業が自社株買いや増配などの株主還元を実施し、投資家から評価されています。

また企業の賃上げによって、今後購買力の向上が物価上昇に繋がる期待があります。デフレから脱却すれば、日本経済の構造転換となります。

さらに、日本国内の預貯金に滞留している資金が株式などのインフレに強い資産に流れる動きも出てきています。新しいNISAによる非課税枠の拡大によって「貯蓄から投資へ」の流れを加速させることになります。

日本株はグローバルな資産配分ではアジア株に分類されますが、中国の経済悪化に伴いチャイナリスクが警戒されていることから、アジア株の中で中国から日本への資産シフトが起こっています。インデックスの比率も変更されることになり、それも追い風になります。

そして、米国をはじめとする世界的な株高はリスク資産の拡大をもたらします。分散投資の配分比率を一定に保つために日本株買いをもたらします。

このように、今回の株高は企業業績の回復、日本経済のデフレからの脱却、中国の影響、さらに日本株の配分比率の見直しといった複数の要因が重なって生まれているものです。昭和のバブルの時のような企業業績の裏付けのない株価上昇とは異なります。

他国の株式市場と比べても、またPER(株価収益率)のようなバリエーション的にも割高とは言えず、基調としては上昇が続くと考えます。

今までの投資方法はこれからも変わらない

このようなマーケットになっても、私は株式投資の基本的な方法は今後も変える必要がないと思っています。それは銘柄選択や投資タイミングを考えないことです。

例えば、現在は半導体関連銘柄が大きく上昇していますが、これも永遠に続くわけではありません。今までも投資のテーマに乗ってブームになった銘柄が、その後冴えない動きになったことは珍しくありません。ドットコムブーム、シェール革命など、最終的には想定したようなリターンは生み出しませんでした。

いずれ投資家の投資対象が出遅れていた銘柄にシフトしていくような循環物色が起こるようになります。その中で、どの銘柄が上がるかをピンポイントに当て続けることは困難です。

また、下がったところで買おうとするタイミングを考えた投資も簡単ではありません。調整するタイミングを待っているうちに、買い損ねてしまうこともあります。それよりも、長期的な相場の上昇を見据え「マーケットに留まり続けること」が大切です。

日本株に投資するなら、TOPIX(東証株価指数)に連動する低コストのインデックスファンドに積立で投資を続けるのがベストです。また、新NISAやiDeCoのような税制優遇の枠も積極的に活用しましょう。

現在の日本はデフレからインフレに転換する大きな転換期になっていると考えられます。
その中で、リスクを取る人と取らない人の資産格差はこれからますます拡大していきます。

株価が上昇してしまったからもう手遅れと諦めるのではなく、これから何をすべきかを冷静に考え、正しい投資の方法を迅速に実践すべきでしょう。