◆一昨日の土曜日は大阪で「お客様感謝デー」を開催した。好天にも恵まれ多くのお客様にご来場いただき大変盛況なイベントとなった。松本大も「つぶやき」で書いている通り、遠方で開催するイベントは前泊が基本である。僕は別の講演の仕事があったため、一足先に木曜日から大阪入りした。
◆東京から大阪までは新幹線が便利だが、気が短く一か所にじっとしていることが苦手な僕は飛行機で行くことも多い。空港での待ち時間や伊丹空港から大阪市内への移動などトータルの時間は飛行機のほうが余計にかかる場合もあるし、飛行機は天候や機材の整備不良で飛ばないリスクも多い。そんなことを考えると新幹線のほうが安心だ。だから着いてすぐに仕事の予定がある場合は新幹線と決めている。ところが木曜日の朝、東海道新幹線は大阪・京都間の沿線火災のため運転を見合わせた。急きょ、羽田から飛行機で大阪へ飛んだ。
◆東京から大阪への移動で新幹線がダメなら飛行機で。これは誰でも簡単に思いつく代替案だが、普段から乗り慣れていない場合はどうだろうか。必ずいつも新幹線を使うと決めているひとは、飛行機で行くイメージがとっさにわかないのではないか。
◆お客様感謝デーでは、現役のプロ・トレーダーによる対談、ハンマー投げのチャンピオン、室伏広治さんによるトークショーなど多彩なプログラムをお届けしたが、そのなかで、彼らが異口同音に挙げたのが、「シナリオを用意しておく」ということである。もちろんシナリオ通りにいくとは限らない。だからメインシナリオが外れた場合のヘッジシナリオ、すなわち「プランB」を用意しておく。それがゲームを戦う鉄則である。ビジネスマンにとっては、出張に出かけるところからすでにゲームは始まっている。出張ルートもプランBを用意しておこう。
◆僕も若いときに上司からプランBを用意することの重要性をたたき込まれたおかげで、これまでずっと大過なくやってこられた。プランBに大感謝である。これまでの人生、ほとんどプランBの道を歩んできたと言ってもいい。でも、それってメインシナリオを想定する能力に欠けているってことでは?ストラテジストとしての適性は大丈夫か?自分でもちょっとだけ、不安になったりもする。ストラテジストを廃業した場合のプランBは?考えたくない!
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆