モトリーフール米国本社、2024年2月25日投稿記事より

バフェット銘柄への投資は魅力的か?

ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のポートフォリオは、長期にわたって市場をアウトパフォームしてきました。バフェット氏の戦略はシンプルで、一度購入した銘柄を長く保有するというアプローチを取っています。

しかし、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオに入っているからと言って、その銘柄を今買うのが良い選択とは限りません。

以下では、バフェット銘柄の中で投資を検討する価値のある2銘柄と、少なくとも当面は手を出さない方が良い1銘柄を紹介します。

堅実なバンク・オブ・アメリカ[BAC]

バンク・オブ・アメリカは[BAC]ワクワクする銘柄ではありません。しかし、信頼できる安定した結果を求めるのであれば、バンク・オブ・アメリカはうってつけです。

この会社について詳しく説明する必要はないでしょう。2兆5,000億ドルの資産を保有する、全米第2位の大手銀行です。当座預金や融資といった基本的な銀行サービスに加えて、運用やウェルスマネジメントといったさまざまなサービスを提供しています。また、他の大手銀行と同様に、企業の資金調達を支援しています。特に複雑なビジネスではなく、銀行業界の中で格段の競争優位性を享受しているわけでもありません。

それでも、バンク・オブ・アメリカは銀行業界の中で明らかに傑出した存在です。2023年第4四半期には、個人の当座預金口座数が13万件増加し、証券およびプライベートバンキングの顧客は4万件増加しました。資本市場の活動が世界的に低迷しているにもかかわらず、投資銀行業務の手数料収入は前年同期比で7%増加しました。経済環境が不安定な中、自己資本比率や株主資本比率も良好な水準を維持しています。

前四半期の数字で唯一懸念されるのは、ローンの償却が増加していることですが、それでもわずかな上昇にすぎません。ローン償却率は、2023年第3四半期の0.35%、2022年第4四半期の0.26%に対し、2023年第4四半期は0.45%でした。これは十分に管理可能な水準です。

ポイントは、事業が安定した着実な会社であり、消えてなくなることはないということです。2.8%の配当利回りもあります。

なお、バンク・オブ・アメリカは、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオで2番目に大きなポジションを占めています。バークシャー・ハサウェイはバンク・オブ・アメリカ株103万株を保有しており、350億ドルに相当します。

オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]は資産最適化

バフェット氏は「これ以上その銘柄を買わないだろう」と思った矢先に、買い増すことがあります。バークシャー・ハサウェイは第4四半期に大手エネルギー企業オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]の株式を1,960万株購入し、保有株数は合計2億4,370万株に達しました。合計価値は145億ドルに上り、オクシデンタル・ペトロリアムの時価総額のおよそ4分の1に相当します。

バークシャー・ハサウェイがオクシデンタル・ペトロリアムに初めて投資したのは2019年で、当時は意外な印象がありました。オクシデンタル・ペトロリアムはエネルギー株としては優良企業ですが、バフェット氏は長いことエネルギーセクターに興味を示してこなかったからです。これは、環境問題をめぐる懸念が従来の石油・ガス会社にゆっくりと、しかし着実に不利に働いているという事実と関係があるのかもしれません。つまり、再生可能エネルギーの出現と、それが炭化水素燃料にもたらす脅威が、エネルギーセクターに関心が薄い要因の1つとなっている可能性があります。

しかし、時が経つにつれて、石油と天然ガスが今後もずっと長く必要とされ続けるだろうという見方が強まっています。国際エネルギー機関(IEA)は、世界全体の石油、天然ガス、さらには石炭の消費量が2030年まで増加し続けるとみています。今から6年後に消費量がピークに達した後、2050年にかけて需要は徐々に減少する見通しです。

つまり、このセクターはまだしばらく魅力的であるということです。

この根強い需要を利用する手段として選択できる銘柄も多くあります。その中でも、オクシデンタル・ペトロリアムは間違いなく選択肢の1つでしょう。ビッキー・ホラブCEOのリーダーシップの下、同社は投資すべき資産と手放すべき資産を的確に見極めているようです。

例えば、オクシデンタル・ペトロリアムは債務の返済に充てるため、天然ガスパイプラインを運営するウェスタン・ミッドストリーム・パートナーズの売却に向けて動いていると噂されていますが、同時に、パーミアン盆地での陸上事業を拡張するためにクラウンロックを買収しています。このような資産の最適化は利益率向上につながります。

キャピタル・ワン・フィナンシャル[COF]は要警戒

一方で、バフェット氏が保有する金融会社キャピタル・ワン・フィナンシャル[COF]については、騒ぎが落ち着くまで投資を控えた方が良さそうです。騒ぎというのは、クレジットカード会社のディスカバー・フィナンシャル・サービシズ[DFS]を350億ドルで買収すると発表したことです。

表面的には、両社は良い組み合わせに見えます。ターゲット市場や戦略は比較的、似ています。両社が組むことで、クレジットカード業界の巨人であるビザ[V]やマスターカード[MA]にとって脅威となることは間違いありません。ディスカバーは、ビザやマスターカードより小規模ではあるものの、独自の決済ネットワークも持っており、いずれはキャピタル・ワンのクレジットカードも扱えるようになるでしょう。

しかし、2月19日に買収が発表されたにもかかわらず、キャピタル・ワン・ファイナンシャルの株価はほとんど動きませんでした。これには2つの理由があります。

1つ目の理由は、この買収の背景にある戦略的考え方は理にかなっているように見えますが、全額株式交換による350億ドルという買収価格が疑問視されることです。ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズの2023年売上高160億ドルに対して、純利益30億ドル弱というのは確かに素晴らしい業績です。しかし、資産基盤が不安定で、延滞や償却が増加している企業に対して、キャピタル・ワン・ファイナンシャルが支払おうとしている買収価格にはかなりのプレミアムが上乗せされています。

このニュースに市場がポジティブに反応しなかったもう1つの理由は、買収が成立しない可能性があることです。合併には米司法省の承認が必要ですが、最近の司法省は銀行業界内の合併に特に慎重になっています。買収が承認されても、キャピタル・ワン・ファイナンシャルの株価が上昇するとは限りませんが、買収差し止めとなれば株価に大きな打撃となる可能性があります。

また、現実問題として、それぞれが独自の制度や顧客基盤を持つ2つの企業を統合することは、想像以上に複雑だったというケースが少なくありません。

投資家は、少なくともしばらくは、他に目を向けるのが良いでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者James Brumleyは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はバンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイ、マスターカード、ビザの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、オクシデンタル・ペトロリアムの株式、および以下のオプションを推奨しています。マスターカードの2025年1月満期の370ドルコールのロング、同2025年1月満期の380ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。