政策金利は4会合連続で据え置き
現地時間1月31日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場想定通り4会合連続で据え置きとなりました。
公表された声明文では、雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、より良いバランスへと移行しつつある、としながらも経済見通しは不確実であり、インフレリスクに特に注意するとしました。また、金利水準の変更は今後入手するデータや変化する見通し、リスクのバランスを慎重に見極めるとし、インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない、とされました。
パウエルFRB議長の会見では政策金利は今回のサイクルにおけるピークの可能性が高く、経済がおおむね予想通りに展開した場合は景気抑制的な政策を元に戻すことが適切になる公算が大きい、と大局観を示しながらも、適切だと判断すれば現在の金利水準より長期にわたって維持する用意があるとの引締めバイアスも維持しています。また3月利下げの確信度は低く、最も可能性の高いケースもしくは基本シナリオと呼ばれるものではないとし、市場期待をけん制しています。
市場はリスクオフ的に反応
今回のFOMCは主力企業の決算発表や朝方の弱い労働市場データから株安・金利低下となるなかで迎えました。直後の市場はタカ派的なスタンスを受けて金利上昇、円安で反応していますが、やがて株安金利低下が強まっています。これまで堅調な経済と利下げ期待という好条件が織り込まれてきましたが、高まる期待に届かない各種データの公表と共にリスクオフが優勢となった印象です。
イベントを受けて市場の3月利下げ期待は35%程度まで低下していますが、それでも年内の利下げは引き続き6回程度予想されています。パウエル議長は声明文で利下げの必要条件とした「インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信を強める」上で必要な点について、ここ数ヶ月の良好なデータの継続を、より多く確認する必要があると回答しました。市場の期待が実現するには確認すべき事項が多いわけですが、一方で断続的な利下げは経済状況の相応の悪化も想定されることから、市場期待には良いとこ取りのちぐはぐ感があります。
3月会合で「踏み込んだ議論」が開始されるか
2023年3月に銀行不安で市場が動揺した際に設立されたバンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)という、銀行や信用組合が米国債等を担保にその額面相当額を最長1年借り入れ可能となるプログラムが、来る3月に終了となる旨公表されました。また本日会見にて、毎月最大950億ドルペースで縮小が進行中の量的引き締め政策について、プロセスの継続とともに、保有証券減少のペースに関して疑問が一段と明確になり始める時期に近づきつつあることから3月会合で踏み込んだ議論を開始する予定、としました。すぐに行動変化に現れるのか不明ですが、リスクオンに寄与してきた流動性にも目配りする必要がある時間帯を迎えています。