資産運用とは資産を増やすためにやることが目的で当たり前だと思っている人が多いように感じます。しかし、単に資産を増やすことだけを目標に、やみくもに資産運用することは効率的とは言えず、後悔することにつながりかねません。

なぜなら、資産運用で実現したいことは人によって異なるからです。資産運用を始める前にやるべき大切なことは、まず目的を明確にすることです。

資産運用の目的は人それぞれ

資産運用の目的は個別性の強いものです。20代や30代でファミリー世帯であれば、マイホームの購入や、子供の教育資金といった目的かもしれません。

最近では、老後に備えて資産運用をする若い世代が増えています。また、数十年後の経済的な不安を解消するための準備が目的という人もいます。それ以外にも、日本の将来を悲観して、資産を外貨で保有して円安に備えることや、インフレに対抗するために資産運用するという個人投資家も多いのです。さらに、子供や孫の代に資産の承継をするのが目的の人もいます。

年齢と共にキャピタルからインカムへ

また、資産運用の目的は年齢と共に変わっていくことがあります。

一般的に資産が少ない若いうちは、資産運用の目的は元本の拡大させるキャピタルゲインを狙った投資が中心になります。株式や株式を組み入れた投資信託等を使って資産を形成していく、NISAやiDeCoを使った方法はその典型です。

年齢を重ねていくと、資産運用の目的は元本の拡大だけではなく、定期的なインカム収入にも広がっていきます。さらに給与所得が減ったり、年金生活者になれば、株式のようなリスクの高い資産を保有するよりも、定期的に安定したインカム収入が得られる債券や不動産への投資が中心になっていきます。

個人差はありますが、年齢とともにキャピタルゲインからインカムゲインにシフトしていくのが資産運用の基本パターンです。

増やし方だけではなく、減らし方も考える

リタイアして年金以外の収入が無くなると、今まで積み上げていた資産を取り崩すことも必要になります。しかし、老後を過剰に不安に感じて資産が減らないよう生活する人も多いのです。

確かに、リタイアしてからも、お金は必要で大切な事には変わりありませんが、年齢を重ねるにつれ、使う金額は減っていきます。例えば、海外旅行は体力が無ければ行けませんし、食べる量や酒量も減っていきます。旅行や外食の機会が減れば、お金を使うことも減っていきます。

だとすれば、人生の後半戦では、それまでのお金に対するマインドを大きく転換し、お金を増やすことを考えるより、有効に使って資産を減らす計画を立てるべきです。

人生の最期を前に後悔することの上位には「働き過ぎなければ良かった」「やりたい事をやれば良かった」といった項目が並ぶそうです。やりたいことを我慢して、その結果使いきれない資産を残して一生を終えるのなら、お金を計画的に使いつつ、悔いのない毎日を送りたいものです。

自分の資産運用の目的を考える

資産運用に対する考え方は人それぞれです。まずは、自分自身の現在の資産運用の目的をもう一度確認してみましょう。お金とは人生でやりたいことを実現するための「手段」に過ぎません。しかし、多くの人はそのことを忘れてしまいがちです。

そうならないためには、自分が人生で何をしたいのか、そのためにどのくらいのお金が必要なのかを常に考えることが大切です。