◆0勝2敗1分け。それがサッカー日本代表のW杯1次リーグの結果である。残念ながら決勝トーナメント進出はならなかった。

◆日経平均の騰落を勝ち負けとすると、今年に入っての成績は、意外なことにほぼ五分である。一昨日まで58勝58敗だった。昨日の下げでひとつ負けが先行したが、ほぼイーブンである。それにもかかわらず日経平均は昨年末の高値から1000円も低い水準にある。当たり前だが日々の騰落数はトータル・リターンに関係ない。上げ幅より下げ幅が大きいのだ。58日間の値上がり幅合計と59日間の値下がり幅合計の差は1000円。それがそっくりそのまま昨年末と現在の値の差である。

◆ある記者の方に教えてもらったことだが、実は1990年以降の騰落数もほぼ五分である。自分で確かめてみて驚いた。90年の大発会から昨日までの成績は3007勝3015敗。1989年末の大納会に3万8915円の史上最高値をつけ、それから四半世紀近くが経とうとする今、日経平均はその4割にも満たない水準に低迷しているが、この間の上げ下げでいうと、下げた日がたった8日多かっただけ、ということなのである。

◆暴落のあった日を除いてみよう。リーマンショック直後の2008年10月には日経平均で1000円前後の暴落が4日あった。2011年3月の震災直後、原発不安で1000円超下げた3月15日。そして昨年5月のバーナンキショックも1000円を超える急落となった。これら6日を「仮になかったこと」にするだけで、日経平均はほぼ3万円になる計算である。急落の後にはその反動で急反発があるのが常だから、大幅安の日だけを除くというのは現実的なシミュレーションではない。それでも急落を回避するとこれだけパフォーマンスが改善するということのイメージを持ってもらうには役立つだろう。

◆勝ち負けの数は関係ない。小さい利益をたくさん積み重ねても、一回の大負けで吹き飛ばしてしまう。10勝1敗でもマイナスリターンということはよくあることだ。大負けを避けることが重要である。

◆勝ち負けの数は関係ない、とサッカー日本代表に伝えたい。昨日のコロンビア戦、試合内容が明らかに変わっていた。ボールを持った選手がみな前を向いていた。その視線の先に4年後を見ていたかのように。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆