モトリーフール米国本社、2024年1月9日 投稿記事より
主なポイント
・アーク・インベストメント・マネジメントは、1月8日にヌー・ホールディングス[NU]、メルカドリブレ[MELI]、トースト・インク[TOST]の株式を購入
・ヌー・ホールディングスとメルカドリブレは中南米の企業で、50%を超える売上成長を記録し、株価は2023年に急騰した
・トーストは、直近の決算発表で低調なガイダンスが示されたことで投資家が売りに動き、2023年の株価はほぼ横ばいで推移
銘柄選択のエースは、銘柄選定に困ることはない
アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)の共同創業者であるキャシー・ウッドCEOは2023年、過去2年連続の不調から立ち直りました。同氏は積極的に投資することで、2024年も連勝を続ける意気込みがあるのでしょう。年明けからすでにいくつかの保有銘柄を買い増しており、以下では、その中から注目の3銘柄を紹介します。
ウッド氏は週初めの1月8日、ヌー・ホールディングス[NU]、メルカドリブレ[MELI]、トースト・インク[TOST]を買い増しました。これらを追加購入した理由について探ってみましょう。
ヌー・ホールディングス[NU]
ヌーバンクは米国内ではあまり知られていませんが、ブラジルのフィンテック最大手です。その親会社であるヌー・ホールディングスは、2023年第3四半期末時点の口座数が8,910万件、このうちブラジル国内の口座数が8,400万件となり、重要な節目に到達しました。
今やブラジルの成人人口の半数以上が、ヌー・ホールディングスの口座を持っていることになります。ここで驚くべきことは、同社がこれを10年足らずで成し遂げたことです。
第3四半期の売上高は、為替調整後で前年同期比53%増となりました。増収の大部分は顧客数が27%増加したことによりますが、顧客数の伸び率と比べて売上高が大幅に伸びた理由は、顧客エンゲージメントの向上にあります。
アクティブ率は記録的水準にあり、アクティブ顧客1人当たりの売上高は前年同期比で18%増加しました。株価が2023年に2倍以上に上昇したのも驚くことではありません。
ブラジルの成人人口の51%が、同社の成長著しい次世代金融サービスを利用していますが、同社の成長は自国でのシェア獲得だけではありません。2020年には、メキシコとコロンビアで事業を開始しました。ヌー・ホールディングスの顧客ベースの94%は依然としてブラジルが占めていますが、中南米全体への事業拡大が成功すれば、長期にわたる成長が見込まれます。
フィンテック企業の多くは、このような成長の初期段階に赤字を生み出すと思われがちですが、ヌー・ホールディングスに関しては、第3四半期に過去最高益を更新したばかりです。これで5四半期連続の黒字計上となりました。2024年の調整後予想利益に基づく株価収益率(PER)は22倍と、決して割安ではありませんが、2025年予想PERは15倍であり、はるかに妥当な水準となります。
メルカドリブレ[MELI]
ウッド氏が8日に購入した中南米銘柄はヌー・ホールディングスだけではありません。アーク社は、中南米のEコマース最大手企業であるメルカドリブレの株式も追加購入しました。
メルカドリブレも2023年第3四半期に目覚ましい成長を遂げました。売上高(為替調整前)は前年同期比69%増の38億ドルでした。Eコマースプラットフォーム上の流通総額(GMV)が59%増と急増したことも素晴らしいのですが、決算発表の中で最も印象的だったのはこのことではありません。
同社が提供するフィンテックソリューション「MercadoPago」による決済総額は473億ドルとなり、前年同期比121%増という驚異的な伸びを示しました。メルカドリブレの拡大するエコシステム全体のユニークアクティブユーザー数は、第3四半期末時点で1億2,000万人に達し、前年同期の8,800万人から飛躍的に増加しました。
メルカドリブレは投資家からも注目を集めており、株価は2023年に86%上昇し、2年連続の大幅下落から大きく反発しました。
トースト・インク[TOST]
最後は米国企業です。急騰したヌー・ホールディングスやメルカドリブレと比べると、トーストの株価は2023年に市場全体を大きくアンダーパフォームし、わずか1%の上昇にとどまりました。
一方で、ヌー・ホールディングスやメルカドリブレとの共通点として、トーストもフィンテック事業を手掛けています。同社は、顧客が飲食代金を簡単に支払える方法をレストラン向けに提供しています。同社は飲食業界を対象に幅広いソリューションを提供していますが、中でも最も注目されているのはPOSシステムです。
事業は成長しています。プラットフォーム上の店舗数は9万9,000店と、前年同期比34%増加しました。しかし、第3四半期決算発表の際に会社側が、1店舗当たりの決済総額が第4四半期には減少傾向にあると警告したことを受け、株価は下落しました。
当然ながら、同社の業績は景気全般、特に外食トレンドに左右されます。しかし、最近の常連客の単価の鈍化が2024年のトーストの業績をそのまま表していると考えるのは早計でしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、ヌー・ホールディングス、トーストの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はメルカドリブレ、トーストの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はヌー・ホールディングスの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。