「簡潔さは機知の神髄」(シェークスピア)
◆僕が書くストラテジーレポートは長い。読者から寄せられる苦情のなかで最も多いのが「話が長い」というもの(ちなみに2番目に多いのが「お前の予想は当たらない」である)。僕のレポートが長いのはそれなりに理由があるのだが、長ければいいってものでも確かにない
◆AP通信やロイターなど世界的な通信社が、500語以内で記事を書くようにと通達を出したという。その理由のひとつが、記事が長いと読まれにくいからだという。スマホなどモバイル端末でニュースを読む人が増えていることと、長い記事が敬遠される傾向の高まりとの間にはおそらく有意に正の相関があるだろう
◆脚本家の三谷幸喜さんは、すべては制約から始まり制約の中に答えがある、と言っている(NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』)。制約がなかったら、おそらく考えもしなかったようなアイデアが、制約を乗り越えようとするからわいてくるのだという
◆今日から新しいコラムを始めます。字数は500~600字。おもだった新聞の1面コラムとほぼ同じである。限られた字数という制約のなかで、どこまで、何ができるかやってみようと思う。字数が多いと読まれない、という後ろ向きな理由からではない。長いと読まないというひとは短くても読まないだろう。「忙しくて時間がない」という理由でやらないひとは、時間があってもやらないのと同じである。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆