モトリーフール米国本社、2023年12月12日 投稿記事より
主なポイント
・サービスナウの株価は2023年に急上昇し、バリュエーションは高プレミアムとなっている
・成長率は再び加速しているが、今後のストーリーは利益率の上昇が焦点になるだろう
・サービスナウは引き続き、長期的に有望な銘柄である
サービスナウの株価は2023年に急騰したが、2024年以降も長期的な成長ストーリーが持続する可能性が高い
デジタルトランスフォーメーション・プラットフォームを展開するサービスナウ[NOW]は、クラウドソフトウェア業界が2023年に減速していることを知らないのかもしれません。売上高の伸びは過去1年間を通して加速し続け、株価は2024年が近づくにつれて勢いを増しています。新年まであと数週間となった今、株価は年初来で80%上昇しています。
バリュエーションが高いために、多くの投資家はこの有力クラウド企業の株式を購入するのをためらっているようです。サービスナウの目覚ましい上昇は、2024年も続くのでしょうか。
未来の業務のための次世代プラットフォーム
サービスナウは、企業が従業員やカスタマーエクスペリエンスを管理するためのさまざまなソリューションを提供しています。同社のプラットフォームは、タスクの完了を遅らせるボトルネックの発見を支援する人工知能(AI)から、アプリのパフォーマンスを支援するクラウド可観測性ソリューションまで、幅広いデジタルワークフローの管理ツールをカバーしています。
同社が多くの投資家に注目されるようになったきっかけは、2023年夏にエヌビディア[NVDA]との提携拡大が発表されたことでした。サービスナウは、エヌビディアの最新かつ最高のAIシステムを採用して自社のプラットフォームを改善し、一方でエヌビディアは、より強力なチップや生成AIシステムを開発するための自社のワークフロー管理において、サービスナウの利用を拡大することを明らかにしました。
従業員のタスクの自動化を促進するために使用されるこうしたAIは、大手顧客の「デジタルトランスフォーメーション」を後押ししています。2023年のように、コスト削減が企業の最優先課題とされる時期においては、サービスナウのソフトウェアに対する需要は高くなります。2022年の弱気相場が終わって以降、サービスナウの売上成長は再び上昇しています。
期間 | 売上高 | 前年比 |
---|---|---|
2021年 | 59億ドル | 30%増 |
2022年 | 72億5,000万ドル | 23%増 |
2023年第1四半期 | 21億ドル | 22%増 |
2023年第2四半期 | 21億5,000万ドル | 23%増 |
2023年第3四半期 | 22億9,000万ドル | 25%増 |
出所:サービスナウ
さらに、サービスナウは収益性も急速に向上しています。2023年1~9月累計期間のGAAP(米国会計基準)ベースの営業利益は4億9,200万ドルとなり、前年同期の2億ドルから大幅に増加しました。同期間のフリーキャッシュフローは13億6,000万ドル、フリーキャッシュフローマージンは21%と健全な水準にあり、GAAPベースの利益との差は、主に従業員の株式報酬が原因です。
従業員の株式報酬に関しては、サービスナウの経営陣は、2023年第3四半期に2億8,200万ドル相当の自社株買いを実施したと報告しています。これは、同社が初めて実施した自社株買いプログラムの一環であり、従業員株式報酬による希薄化の影響を相殺することを目的としています。第3四半期末時点で、同社には約12億ドル相当の自社株買い枠が残っています。
若干の波乱も予想されるが、長期的には雲の上のクラウド銘柄となる可能性がある
2023年の株価急騰により、サービスナウの足元の株価は、12ヶ月実績株価収益率(PER)90倍、同株価フリーキャッシュフロー倍率約60倍という高いプレミアムとなっています。もちろん、これほどの高プレミアムとなっている背景には、サービスナウの利益率が今後数年間で急速に上昇すると予想されていることも一因となっています。実際に、ウォール街のアナリスト予想利益に基づく2024年予想PERは55倍であり、プレミアムはやや低下します。
とはいえ、サービスナウの株価が割高であることに変わりはありません。そのため、例えば、短期的な業績が1~2四半期にわたって予想を下回った場合に株価が急落するなど、一時的に乱高下する可能性があります。
しかし、長年にわたって急速かつ安定的に成長していることや、AIを活用したクラウドベースのソフトウェアにおけるリーダーシップを考えると、投資家がサービスナウの業績軌道を楽観視するのは当然のことでしょう。筆者としては、サービスナウの株式をドルコスト平均法で時間をかけて買い増ししていく戦略も良いかもしれません。10年、あるいはそれ以上の長期的可能性を信じるだけの材料は、そろっているのかもしれません。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Nicholas Rossolilloとそのクライアントは、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はエヌビディア、サービスナウの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。