11月はS&P500、ナスダック100ともに年初来高値を更新
11月は米国株投資家にとって2023年のベストの月となりました。
S&P500は8.92%、ナスダック100は10.67%とそれぞれ上昇しました。また「マグニフィセント・セブン」の7銘柄(アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA])に3銘柄を加えた10銘柄で構成されるNYSE FANG+指数は13.46%上げマーケットを主導、S&P500は11月30日に引値ベースで、そしてナスダック100は一足先の11月20日に引値ベースで2023年の高値を更新、11月29日にはざら場中の高値を更新しました。
11月の株式市場の上げのドライバーとなったのは、金利の急激な下げです。先月発表された様々なインフレ指数は、インフレ低下を示唆するものでした。その結果、10年債利回りは10月末の4.931%から11月30日には4.326%へと、60ベーシスポイント(0.6%)と大きく金利を下げる展開となっています。
先週12月1日(金)、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は大学での講演会で、「われわれが十分に制限的なスタンスを達成したと自信を持って結論づけるのは時期尚早であり、いつ政策が緩和されるかを推測するのも時期尚早である」と述べました。しかし、マーケットはこの発言に対し、2022年3月以降の一連の利上げが経済活動を減退させたことから、FRBは少なくとも利上げが終了したと解釈したようです。これを受け、10年債利回りは4.326%から4.196%まで1日で13ベーシスポイント(0.13%)下がり、株価が上昇するという展開となりました。
小型株が相対的に上昇し、イコールウエイト指数のパフォーマンスが良くなっている
このような市場金利の急激な下げを受け、相場つきに変化が起きています。
これまで市場を牽引してきたのはS&P500やナスダック100に代表される大型銘柄でした。ところが先週S&P500が0.77%上がる中、S&P500のイコールウエイト(均等加重平均)指数は2.35%上昇しました。
S&P500は時価総額の大きな銘柄の株価の動きに影響を受けやすくなっている一方イコールウエイトは、時価総額の大きさに関係なく、全ての銘柄の動きが指数に同じように影響するよう作られた指数です。先週S&P500イコールウエイト指数が、S&P500を超えて上がっているということは、時価総額が大きな銘柄と比べ、時価総額の小さな銘柄が相対的に上がったということです。つまり、マーケットの裾野が広がっているということです。
※S&P500イコールウエイト指数に連動するETFは、インベスコS&P500イコールウエイトETF(RSP)があります
実際、小型株指数であるラッセル2000は先週3.05%上昇しています。
※ラッセル2000指数に連動するETFには、iシェアーズ ラッセル2000 ETF(IWM)があります
米国株の大型株だけが上がってきたことを問題視する意見がある中、このような展開は理想的であり、12月に入っての更なる米国株の上昇をサポートするものだと考えられます。
アノマリーで見る12月の米国株
アメリカでは、11月末の感謝祭が終わるとクリスマスムードとなり、米国のラジオ局にダイヤルを合わせると、クリスマス音楽が流れてきます。そんな中12月に入ると米国株市場では「クリスマスラリー」、「サンタクロースラリー」、「イヤーエンドラリー」など、マーケットの上昇を示唆するフレーズが目立ちます。
以下のデータは、感謝祭から年末までのS&P500の騰落率を調べたものです。1928年からこれまでの感謝祭前日からクリスマスイブまで、感謝祭前日から年末まで、そしてクリスマスイブから年末までのリターンに分けています。
※感謝祭(サンクスギビングデー):11月の第4木曜日
S&P500の感謝祭から年末までの平均リターンはというと1.43%、中間値で1.65%、この間がプラスになる確率は70.53%となります。
一方、2023年は大統領就任3年目ですが、この3年目のリターンはいつもの年の平均と少し変わってきます。大統領就任3年目になると感謝祭から年末までの平均リターンは2.49%、中央値では3.01%、プラスになる確率は73.91%と、リターンもプラスになる確率も高まるのです。
アノマリーが続くとすれば、年末までにマーケットの更なる上昇が期待されます。
先週11月28日、ウォーレン・バフェットさんの盟友であったバークシャーハサウェイの副会長チャーリー・マンガーさんが99歳で亡くなられました。ご冥福をお祈りします。