銀行の中間決算発表が始まりました。既に発表を終えた3メガバンクの株価は、決算と自社株買いを一旦好感したのち、国債利回り下落や材料出尽くし感で今日は値を下げています。
上期の当期利益の通期会社予想に対する達成率は高く、みずほFGと三井住友FGは上方修正後でも6割前後となっています。業績予想を修正しなかった三菱UFJFGに至っては71%の達成率となりました。それぞれ株主還元の拡充も発表しましたし、かなり順調な内容と言っていいでしょう。
こうした当期利益や株主還元は全業種共通なのでさほど難しくないのですが、銀行の決算は読みにくいという声をよく耳にします。確かに銀行の損益計算書には「売上高」がない一方、「業務純益」などという見慣れない項目があったり、とっつきにくい面もあります。では、銀行の企業価値や株価の見通しは、決算のどこで判断すればいいのでしょうか。
銀行の利益には、比較的安定的に推移する項目と「スイング・ファクター」とも呼ばれる変動が激しい項目があります。安定的な項目には、例えば貸出利鞘(資金利益)や受託資産からの手数料(役務取引利益)などがあります。一方で、トレーディング収益(その他業務利益)や与信費用などは、毎期ブレが激しいスイング・ファクターです。
このうち、中長期的な企業価値を見る上で重要なのは、安定的な利益項目のトレンドです。今期の改善度合いはどうだったか、環境変化も考慮した場合、今後も改善が続くのか。全体に占める比率も大きいだけに要注目です。
銀行株を決算で売買するには、スイング・ファクターが弱めで評価されなかった銀行の安定収益のトレンドを見ることです。今回の銀行決算は、概ね力強い成長力を示していたと思いますが、一部の銀行等はスイング・ファクターで売られ過ぎているようにも見えます。もっとも、銀行は巨大な資産を抱えるだけに、そこまで急激な成長は望めません。あくまで長期的な投資スタンスで、配当なども楽しみつつ、緩やかな成長に注目していくことを心がけたいと思います。