三菱UFJ銀行が10年物の定期預金金利を0.002%から0.2%に引き上げたことが大きく報じられました。増加幅はなんと100倍。もし定期預金だけが国民の金融資産なら、岸田政権の「資産所得倍増プラン」は早くも余裕で達成できることになります。その他の大手行も相次いで定期預金金利の「100倍」引き上げの発表が続いています。

これらの定期預金はどこまで魅力的になっているのでしょうか。インフレ下で重要なのは、投資リターンを「実質で考える」ことです。コロナ前の定期預金金利は 0.002%。これに対してコアインフレ率は0.6%程度でした。インフレ率を差し引いた実質の預金金利はマイナス0.59%。定期預金にすると1年で0.59%目減りするという状態でした。足元でインフレ率が上昇し、直近9月で2.8%となっています。これを使って新しい定期預金の実質金利を計算するとマイナス2.6%となります(0.2%-2.8%)。つまり、実質で見ると、コロナ前より条件は厳しくなっているのです。もちろん、金利を 0.002%に据え置かれるよりははるかに良いのですが…。

企業利益も株式市場も、基本的に名目で計算されますから、インフレが定常化すれば、その分株価は上がりやすくなります。そのリターンの良し悪しは、同じく、インフレ率やリスクフリー金利(国債利回り)と比較する必要があります。

長く続いた超低インフレで、こうした「実質」と「名目」の感覚を忘れがちですが、インフレ下では、名目値で見る様々な投資リターンは上昇しやすくなること、投資商品を選ぶ際には、これらの相対感で選ぶべきことを改めて意識しておきたいと思います。