米アップル[AAPL]が11月2日に発表した2023会計年度第4四半期(2023年7-9月期)の決算は、売上高が前年同期比1%減の894億9800万ドル(約13兆4700億円)で、4四半期連続で減少した。

一方で、純利益は同11%増の229億5600万ドル(約3兆4500億円)となり、2四半期連続で増加した。スマートフォンの買い替え需要が鈍るなか、利益率の高い機種の積極販売やサービス部門の伸びが奏功し、2桁増益を確保した。

 

 営業利益は同8%増の269億6900万ドル(約4兆600億円)。1株利益は1.46ドル(前年同期は1.29ドル)で、売上高と共に市場予想を上回った。ただ、同社は2023年10-12月期の売上高について、「前年並み」との見通しを示した。これを受け、アップルの株価は11月2日の米株式市場の時間外取引で約3%下落した。

iPhone売上高3%増、Macは34%減

売上高を事業部門別に見ると、全体の約半分(49%)を占めるスマートフォン「iPhone」は、前年同期比3%増の438億500万ドル(約6兆5900億円)だった。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、これはアナリスト予想と一致した。前四半期は2%の減収だった。

香港の調査会社カウンターポイントリサーチによれば、2023年7-9月期における世界スマホ販売台数は前年同期比8%減少し、9四半期連続で前年実績を下回った。iPhoneの販売台数は、前年同期から9%減少したと推計している。ただ、7-9月期における新端末「iPhone 15」シリーズの販売日数は1週間余りだった。アップルは高価格帯機種「Pro」の販売に力を入れ、増収を確保したとみられる。

 

このほか、パソコン「Mac」の売上高は同34%減の76億1400万ドル(約1兆1500億円)と大幅に落ち込んだ。タブレット端末「iPad」は同10%減の64億4300万ドル(約9700億円)、腕時計端末「Apple Watch」やスマートスピーカー「HomePod」などの「ウエアラブル、ホームおよびアクセサリー」は同3%減の93億2200万ドル(約1兆4000億円)だった。

米CNBCによると、Macの大幅減についてティム・クックCEO(最高経営責任者)は、「2022年4-6月期に製品の大規模な供給制約があり、2022年7-9月期に販売が急増した。2023年7-9月期の落ち込みはその反動によるもの」と説明した。

アプリ・音楽・動画配信などサービス事業は、再び過去最高更新

一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス事業の売上高は同16%増の223億1400万ドル(約3兆3600億円)で、前四半期に続き過去最高を更新した。同部門の200億ドル超えは4四半期連続で、アップルの全売上高に占める比率は前年同期から約4ポイント上昇し、約25%になった。

ルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は声明で、「当社のエコシステムの強さと顧客ロイヤルティにより、アクティブデバイスがすべての製品とすべての地域において再び過去最高を更新した」と説明した。これはiPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどの世界で稼働中の同社製機器の台数である。アップルは2023年1-3月期の決算発表で、その数が20億台を突破したと明らかにしていた。今後も稼働デバイスの規模を生かし、サービス収入の拡大を図る考えだ。

為替の影響除けば中国事業は成長/インド等の新興国でiPhone売上高の記録を更新

売上高を地域別に見ると、米州が前年同期比1%増の401億1500万ドル(約6兆400億円)、欧州が同1%減の224億6300万ドル(約3兆3800億円)、中華圏が同2%減の150億8400万ドル(約2兆2700億円)だった。日本は同3%減の55億500万ドル(約8300億円)、その他のアジア太平洋は同1%減の63億3100万ドル(約9500億円)。

クックCEOは説明会で、中国での減収は「為替による影響が大きい」と説明した。「為替レートによる影響を取り除くと、中国での事業は前年同期から成長した」(同氏)。中国ではiPhoneの販売で、四半期記録を更新したという。

また、同社が力を入れるインド事業については、「インドを含むいくつかの新興国で、iPhoneの売上高が記録を更新した」と説明した。

1ドル=150.46円で換算