米グーグルの持ち株会社、米アルファベット[GOOGL]が10月24日に発表した2023年7~9月期決算は、売上高が前年同期比11%増の766億9300万ドル(約11兆4900億円)、純利益が同41.5%増の196億8900万ドル(約2兆9500億円)だった。5四半期ぶりに2桁増収を達成し、2四半期連続で増益を確保した。

インターネット広告事業は景気減速を背景に一時低迷した時期があったものの、前四半期に続き、好調に推移した。1株利益は1.55ドル(前年同期は1.06ドル)で、売上高と共に市場予想を上回った。

一方、クラウドサービス事業の伸びが過去約11四半期で最も低い水準で推移したことなどが響き、10月24日の米株式市場の時間外取引でアルファベットの株価は5.7%下落した。

 

ネット広告事業は前年同期比9.5%増、クラウド事業は市場予想に届かず

主力のインターネット広告事業の売上高は、前年同期比約9.5%増の596億4700万ドル(約8兆9400億円)となり、2四半期連続の増収。増収率は前四半期の3%を上回った。

ネット広告売上高の内訳は、検索連動広告が440億2600万ドル(約6兆6000億円)で同11.3%増加した。動画共有サービス「YouTube(ユーチューブ)」は、同12.5%増の79億5200万ドル(約1兆1900億円)で、2四半期連続の増収となった。YouTubeの増収率は前四半期の4%を大きく上回った。一方、グーグル広告ネットワークは、同2.5%減の76億6900万ドル(約1兆1500億円)だった。

AI(人工知能)戦略の中心と位置付けるクラウドコンピューティング事業の売上高は前年同期比22.5%増の84億1100万ドル(約1兆2600億円)となり、市場予想に届かなかった。ロイター通信によれば、この伸び率は、少なくとも2021年1~3月期以降で最も低い。同事業の営業損益は2億6600万ドルの黒字(約400億円)。前年同期は4億4000万ドル(約700億円)の赤字だった。

 

 ピチャイCEO「AIによる革新が進行中」

スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は声明で、「7-9月期の業績結果と製品の勢いに満足している。検索、YouTube、クラウド、Pixelデバイスなど、AIによる革新が進行中だ。AIをより多くの人にとって役立つものにすることに引き続き注力する。エキサイティングな進歩があり、今後も多くのことが起こる」と述べた。

グーグルは2023年8月に、電子メールや文書作成などを組み合わせた企業向けサービス「Google Workspace(グーグル・ワークスペース)」に、生成AIによる業務支援機能を追加すると明らかにした。グーグルはこれを法人ユーザー1人当たり月30ドル(約4,500円)で提供する。同月には生成AIを活用したインターネット検索サービス「Search Generative Experience(SGE)」を日本でも始めた。

2023年9月末時点の従業員数は18万2381人で、1年前から約4,400人近く減った。同社は23年1月、グループ全体で約1万2000人を削減すると発表。対象となったのは全従業員の約6%。米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、グーグルは2023年10月にも数百人の採用担当者を削減し、自動運転事業の「Waymo(ウェイモ)」や「Googleニュース」の製品部門でも人員を削減した。

1ドル=149.87円で換算