モトリーフール米国本社、2023年10月9日 投稿記事より

主なポイント

・テスラ[TSLA]は強いブランド力によって黒字化を達成したが、今後さらに良い時代が訪れる可能性がある
・EV業界の熾烈な競争を考えると、価格競争は当然のことかもしれない
・投資家は割高なバリュエーションを容認しているようだ

テスラ[TSLA]の株価は2023年に急騰しているものの、過去最高値からは37%安の水準にある

電気自動車(EV)メーカーであるテスラ[TSLA]の時価総額は8,000億ドル前後で推移しており、1兆ドルクラブへの復活も視野に入っています。同社は革新的な自動車メーカーであり、長期的な追い風、破壊とイノベーションの文化、真に巨大な市場機会など、1兆ドルクラブの仲間入りをするのに必要な特性を間違いなく備えています。しかし、株価は比較的短期間ですでに大きく上昇しており、高値つかみを心配するのであれば、行動を起こす前によく考える必要があります。

結局のところ、EV市場のリーダーであるテスラ株は買い時なのでしょうか。詳しく見てみましょう。

完全自律走行車による更なる利益成長の可能性

テスラは米国のEV業界で飛びぬけたリードをしており、確固たる経済的優位性を築いています。テスラ成功の鍵は、最初にハイエンドの市場セグメントに集中することで築き上げた強力なブランド力にあります。テスラの自動車はハイテクとみなされており、ソフトウェアをアップデートするだけで複数の問題に対処できることが、カスタマーエクスペリエンスの向上につながっています。従来型のマーケティング活動をほとんど行っていないにもかかわらず、テスラは高級品としての地位を確立しています。

同社が持つもう1つの優位性は技術的なノウハウであり、それは先行者であり続けた強みだと言えます。10年近く業界をリードしてきたことで、テスラは製造能力、車両ソフトウェア、車体設計といった点で、大量の専門知識を蓄積しています。これは、テスラがさらに伸ばそうとしている強みでもあります。

競争が激化している中でテスラが成功できているのは、こうした重要な特性のおかげでしょう。多くの自動車メーカーがEV競争に参入していますが、テスラほど利益を上げている企業は1社もありません。

今後について、イーロン・マスクCEOは、テスラの利益が飛躍的に増加する可能性があると見ています。その一端は、完全自律走行車の開発にあります。完全自律走行車が完成すれば、マスク氏はロボタクシーサービスを立ち上げる計画で、この事業は桁外れの利益を生み出すと見られています。

著名投資家のキャシー・ウッド氏と、同氏が率いるアーク・インベストメント・マネジメントは、マスク氏の見立てを支持しています。アーク社のシナリオによると、テスラの自律走行配車サービスは2027年に、EV販売を上回る売上高を稼ぎ出し、全社の粗利益率は50%を上回る見通しです。こうした予測に基づき、アーク社はテスラの2027年の目標株価を2,500ドルとしています。もちろん、これらは野心的な予測にすぎませんが、ありきたりな可能性以上のものが議論されていることを示しています。

新旧の競合参入でEV市場の競争は激化

テスラがライバル企業に対していかに際立っているかを述べましたが、競争の心配がないわけではありません。多くの企業が、急成長するEV市場のシェアを求めて競い合っています。米国では、フォード・モーター[F]やゼネラル・モーターズ[GM]といった従来の自動車メーカーだけでなく、ルーシッド・グループ[LCID]やリビアン・オートモーティブ・インク[RIVN]といった新興企業も念頭に置かなければなりません。

海外市場でも競争は激化しており、中国にはニオ[NIO]、LI・オート(理想汽車)[LI]といった手強い競合企業がいます。実際、中国のEV市場は米国市場よりも成熟が進んでおり、販売台数も米国を上回っています。さらに、中国では巨大な人口が市場の成長を支えています。

競争環境が激しくなる一方であることから、テスラは市場シェアを拡大し続けるために繰り返し値下げを実施しています。これは利益率の低下につながっており、今後も注視すべきポイントです。

高騰するバリュエーションをも納得させ続けられるか

テスラの株価は過去5年間に急騰し、株価収益率(PER)は73.6倍という高水準にあります。保守的でバリュー重視の投資家であれば即座に敬遠するほどのバリュエーションですが、それは理解できます。テスラは、その高い期待に応えて成長しなければならず、そのためには極めて強気な見通しが必要です。

マスク氏は投資に値する人物かもしれませんが、時価総額がこれほど大きく、バリュエーションが高いことを考えると、テスラ株に楽観論はすべて織り込み済みかもしれません。投資家が疑問に思うべきは、同社が今後5~10年間にわたって市場予想を上回る業績を達成することができるかどうかです。もしかしたら、押し目買いを狙う方がよいかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Neil Patelとその顧客は、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はボイド・ゲーミング、ニオ、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はゼネラル・モーターズの株式および以下のオプションを推奨しています。ゼネラル・モーターズの2025年1月満期の25ドルコールのロング。モトリーフールは情報開示方針を定めています。