2022年から、高校の学習指導要綱で金融経済教育が拡充されました。また、2024年からは新しいNISA(少額投資非課税制度)も加わり、今後、日本人のお金との関わり方がよりアクティブに変化していくことが見込まれます。そこで、マネックス証券は10月4日の「投資の日」に関連して、口座保有者を対象に投資・資産運用に関する意識調査を実施しました。本記事の後半では、10年前と現在でのマーケットを取り巻く環境の変化や、マネックス証券の口座保有者の取引内容の変化について紹介します。

過半数の個人投資家が30代までに資産運用を開始

投資を開始した年代についてたずねたところ、30代までに資産運用を開始していたという個人投資家が59%と過半数を超えています。20代で始めた個人投資家は27%で、若い世代でも資産運用に興味があることがうかがえます。

【図表1】資産運用を始めた年代(回答者数6,735)
出所:マネックス証券作成

初めての投資は、日本株や投資信託が上位に

口座開設後に初めて購入した商品は、日本株(個別株)という個人投資家が半数以上。次いで投資信託が多くなり、やはり最初は「身近」であることや「少額から投資可能」である金融商品から資産運用を始めることが分かります。

【図表2】初めて投資した金融商品(回答者数6,735)
出所:マネックス証券作成

「資産運用を周りにも勧めたい」と考える個人投資家が約8割

資産運用を周りに勧めるかという質問に対して、78%が「勧めたい」と回答。すでに投資・資産運用を実践している個人投資家の多くが、自身の経験を周囲にも共有し、資産運用を選択肢に入れることをお勧めしたいと考えていることが分かりました。

【図表3】資産運用の推薦度(回答者数6,735)
出所:マネックス証券作成

「お金の知識」を得たことが「運用益」を得るより上位に

資産運用を始めて嬉しかったことをたずねたところ、資産運用をすることで「お金に関する知識が増えた」ことが嬉しいという回答が「運用益を得られた」ことを上回って1位となりました。老後不安の解消など将来に関わることより、実際に今起きているポジティブなことに対して喜びがあることが分かります。

【図表4】資産運用を始めてうれしかったこと(複数回答)
出所:マネックス証券作成

100万円の運用益の使い道、「再び投資をする」という回答が8割 

100万円の運用益の用途についてたずねたところ、「再び投資をする」という個人投資家が約8割と圧倒的でした。多くの個人投資家が利益や配当金を使わず、再度投資をすることにより複利の効果を享受することができ、合理的であると考えていることが分かります。

【図表5】運用益の使い道(複数回答・回答者数6,735)
出所:マネックス証券作成
 

NISAの制度変更の認知は高いが、まだ4割が「よく知らない」

2024年から始まる「新しいNISA」についての認知度を調査したところ、制度変更についての認知度は97%と高水準でした。一方で、具体的な制度変更の詳細を40%の個人投資家が把握していないことが分かりました 。より多くの方に「新しいNISA」の制度について理解度を高めていただけるように本サイトでも更に情報発信を強化してまいります。

【図表6】新しいNISAの制度変更内容の認知度(回答者数6,735)
出所:マネックス証券作成

日経平均株価の最高値更新の期待は3割に留まる

日経平均株価が過去最高(1989年、3万8,915円87銭)を1年以内に更新するかどうかという質問に、「超えると思う」と答えた個人投資家は29%にとどまりました。日経平均株価は長期でみると上昇傾向にはありますが、個人投資家はまだ株価を冷静に見ているようです。

【図表7】日経平均株価予想
出所:マネックス証券作成

投資環境10年の変化から現在を知る(2013年 vs 2023年)

10年前である2013年と比較すると、2023年の現在において生活上ではスマホの普及率が9割超えるまでに増え、個人が情報を得る手段がより手軽になりました。またそれにより産業構造も変化が起き、個人投資家の注目先も常に変化をしています。マネックス証券における10年前の取引データと現在を比較して、その変化を調べました。 

初めての投資は投資信託が6割に

口座開設後に初めて取引した商品は、この10年で日本株から投資信託へと大きく移行し、2023年では初めて取引きする商品の過半数は投資信託に。これは、この10年での個人投資家層の拡大、NISAの制度につみたてNISAが追加されたこと(2018年)、近年の投資信託の販売手数料のノーロード(無料)対象ファンド数の増加、最低購入金額の低額化(金融機関によっては100円から可能) 、投資信託の積立タイミングの増加(月次だけではなく日次への拡大)等寄与したと考えられます。投資信託の取扱商品も増え、間口がこの10年で広がったことが反映された変化でした。

【図表8】新規口座開設者における初めての投資(2013年1~8月と2023年1~8月を比較)
出所:マネックス証券作成

日本株のみの取引は減少。投信積立や外国株取引が増加

10年前と現在について、マネックス証券の口座保有者の取引状況を比較しました(図表9)。

  • 10年前は、約4割が日本株のみの取引でしたが、現在その数は24%まで低下。
  • 10年前より、日本株と米国株の両方を取引している顧客が約4倍に増加。
  • 10年前は米国株のみ取引の個人投資家は1%未満でしたが、現在は4%超に。
  • 10年前は投信積立のみは5%未満でしたが、現在は「つみたてNISA」制度の後押しで、約12%まで増えており、今後更なる増加が見込まれます。
【図表9】2013年(上)と2023年(下)の各商品と他商品との取引状況 (2013年1~8月と2023年1~8月を比較)

出所:マネックス証券作成

日本株人気トップ10、メガバンクが根強い人気

日本株でトップ10入りした銘柄は、メガバンク以外はすべて入れ変わりました。2013年時点ではメガバンク以外に、アベノミクス相場で人気となったハイテク関連銘柄が取引されていたことが分かります。一方、2023年は配当利回りの高い銘柄や株式分割されて購入しやすくなった銘柄が好んで取引される傾向があります。

【図表10】日本株人気ランキングトップ10(取引人数順) (上)2013年1~8月(下)2023年1~8月
出所:マネックス証券作成

米国株、2023年はエヌビディアとテスラがランクイン

米国株では10年前と変わらずトップ10入りしたのはアップル[AAPL]、アマゾン[AMZN]、コカ・コーラ[KO]の3銘柄のみでした。2013年のTOP10を見ると、ETF2銘柄以外はGAFAを筆頭に日本でも知名度の高い企業の名前がそろいます。2023年の上位銘柄はというと、この数年で急激に売り上げを伸ばし知名度の上がった企業で、生成AI市場をリードしているエヌビディア[NVDA]、EV先駆者であるテスラ[TSLA]が上位にランクインしました。

【図表11】米国株人気ランキング(取引人数順)(上)2013年1~8月(下)2023年1~8月
VWOのベンチマーク:FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ中国A株トランジション・インデックス VTのベンチマーク:FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス VTIのベンチマーク:CRSP USトータル・マーケット・インデックス SPYDのベンチマーク:S&P 500 高配当指数 出所:マネックス証券作成

■調査概要と回答者の属性

調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券口座保有者
回答数: 6,735
調査期間:2023年9月21日(木)~9月25日(月)