東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続落となりました。244円高の32,101円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで543円高の32,401円まで上昇した後伸び悩みましたが、高値圏で堅調に推移すると448円高の32,305円で前場を終えました。381円高の32,239円で寄り付いた後場の日経平均は大きく上げ幅を縮めるとまもなくしてマイナスに転じ結局97円安の31,759円で取引を終え安値引けとなりました。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

日銀短観の改善などを背景に国内の長期金利が上昇したのを受けメガバンクが堅調でした。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時3.1%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時2.2%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)も一時2.7%高となりました。地銀株も高くコンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)が一時4.0%高、千葉銀行(8331)が一時3.4%高となったほか、政策保有株式の売却を含めた有価証券関係損益が当初の想定を上回ったことから上期の純利益の見通しを28億円から40億円に上方修正した千葉興業銀行(8337)も一時9.4%高となり年初来高値を更新しています。日本郵政(6178)も一時3.8%高となりました。低迷していた楽天グループ(4755)の株価が回復していることを受け、4-6月期に特別損失として計上した楽天グループ株の評価損約850億円について、7-9月期に戻し入れると発表したことで買いが優勢となりました。上期決算を発表したアダストリア(2685)も一時15.9%高となり年初来高値を更新しました。外出機会の増加を背景に客足が回復し主力ブランドの販売が伸びていることに加え、値引きの抑制などで客単価の上昇が見込まれることなどから140億円とみていた通期の営業利益の見通しを180億円に引き上げたことから買いを集めました。

また、日銀短観で大企業・全産業の2023年度の設備投資計画が前年度比13.6%増となったことや、9月30日に発表となった中国の9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が50.2となり好調・不調の境目である50を6ヶ月ぶりに上回ったことから安川電機(6506)やファナック(6954)も買われました。安川電機が一時5.0%高、ファナックも一時3.4%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は97円安となりました。9月30日に米連邦議会の上下両院でつなぎ予算案が可決され米政府機関の一部閉鎖がひとまず回避されたことや、寄り付き前の8時50分に発表となった9月の日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス9と市場予想を上回り2022年6月調査以来、1年3ヶ月ぶりの高水準となったことから買いが先行しました。朝方には一時540円以上上げ節目の32,000円を大きく上回る場面もありました。しかし、戻り待ちの売りが出て後場に入って急速に上げ幅を縮めると売りが優勢となり小幅に下げて取引を終えました。そのため上値の重さが改めて意識されそうで、32,000円を超えて水準を切り上げることができるかが引き続きポイントとなりそうです。なお、先週から小売り企業を中心とした2月決算銘柄の上期決算発表が始まっていますが、本日も引け後にはしまむら(8227)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の23時には9月の米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)