モトリーフール米国本社、2023年9月18日 投稿記事より
主なポイント
・エヌビディアが提供するクラス最高のAIチップに対する需要は急増している
・複数の提携により、成長はさらに押し上げられる見通し
・株価は思っているよりも割安な可能性がある
AIのリーダーには、依然として長い成長の道のりが残っている
半導体大手エヌビディア[NVDA]でエンタープライズ・コンピューティング部門を統括するマヌバー・ダス氏は、人工知能(AI)関連のチップおよびソフトウェアに6000億ドルという驚異的な市場機会があるとみています。革新的テクノロジーに対する需要の高まりは、エヌビディアの売上高と利益の成長を加速させています。
しかし、弱気派は、エヌビディアの株価が急激に上昇し過ぎていると主張しています。そこにチャンスが眠っています。こうした懐疑派はAI革命が始まったばかりで、エヌビディアにはこの先何年にもわたって飛躍的な成長が続く可能性があることを、見落としています。つまり、弱気派はエヌビディア株をいまだに過小評価しているのです。
エヌビディアが買い持ちに適していると思われる理由を説明します。
1.事業は絶好調
エヌビディアは、ただ着実に成長しているのではありません。売上高と利益は劇的に成長しています。2024年1月期第2四半期(5―7月期)の売上高は前年同期比101%増の135億ドル、調整後純利益は同422%増の67億ドルでした。時価総額1兆1000億ドルの超大手企業としては、目を見張るほどの成長率です。
しかも、超大手ゆえに成長率がすぐに減速するということはないと思われます。それどころか、経営陣は成長率が加速し、第3四半期の売上高が170%増になると見込んでいます。
ジェンスン・フアンCEOは、技術面の力強いトレンドがエヌビディアの成長を後押ししていると述べています。8月23日の決算発表の際に、同CEOは、「コンピューティングの新時代が始まりました。世界中の企業が汎用コンピューティングから、アクセラレーテッド・コンピューティングと生成AIに移行し始めています」と語りました。
2.誰もがエヌビディア[NVDA]と提携したがっている
フアンCEOはエヌビディアが成功する上で、他社との提携がカギを握っていると認識しています。そのため、同社は協調的アプローチを取り、ハイテク界の多くのリーダーから好評を得ています。
8月8日、エヌビディアはAI開発者向けプラットフォームを手掛けるハギングフェイスとの提携を発表しました。これにより、自社のスーパーコンピューターサービス、Nvidia DGX Cloud上で大規模言語モデルの構築、訓練、カスタマイズが容易にできるようになります。フアンCEOは、「生成AIはあらゆる産業を変革するものであり、その中核を担っているのは研究者や開発者です。ハギングフェイスとエヌビディアは、世界最大のAIコミュニティを、世界の主要なクラウド上にあるエヌビディアのAIコンピューティング・プラットフォームと結び付けます」と語りました。
8月29日には、アルファベット[GOOGL]のGoogle Cloudと提携し、両社が提供するハードウェアとソフトウェアがより密接に統合することが発表されました。フアンCEOは、「今は、アクセラレーテッド・コンピューティングと生成AIが一体となり、かつてないペースでイノベーションを加速させる転換点にいます。Google Cloudとの協力拡大により、インフラ、ソフトウェア、サービスを通じてエネルギー効率が向上し、コストが削減され、開発者の作業は加速するはずです」と述べました。
さらに9月8日、エヌビディアはインドのタタ・グループおよびリライアンス・インダストリーズと提携し、経済発展が著しいインドに高度なAIを導入することを発表しました。フアンCEOは、「生成AIをめぐる世界の競争は本格化しています。世界中のデータセンターは、画像処理半導体(GPU)コンピューティングにシフトすることでエネルギー効率の高いインフラを構築し、生成AIに対する爆発的な需要の増加に対応しようとしています」と述べました。
他も含めたこれらの提携により、AIの導入が促進され、ひいてはエヌビディアのチップ、ソフトウェア、サービスの需要は高まるはずです。
3.株価は懸念されるほど割高ではない
多くの投資家は、エヌビディアの株価が年初来で3倍以上に上昇していることから、割高過ぎると考えているようです。しかし、そんなことはありません。2024年度予想株価収益率(PER)は42倍であり、アナリスト予想に基づく2025年度予想PERは27倍未満です。2024年度に222%、2025年度も55%の利益成長が見込まれるエリート企業にとっては、明らかに割安と言えます。
エヌビディアの幹部も同意見のようです。同社の取締役会は8月21日、250億ドルの自社株買いプログラムを承認しました。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Joe Tenebrusoは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。