モトリーフール米国本社、2023年9月5日 投稿記事より
主なポイント
・オクタ[OKTA]の最新の決算発表は、売上高、利益ともに予想を上回った
・Okta Identity GovernanceやOkta for Global 2000などの新製品が成長を後押し
・PSRは6倍と、バリュエーションは妥当な水準にある
最新決算を受け、オクタ[OKTA]に復活の兆し
ナスダック総合指数の勢いは8月に失速しましたが、ハイテク株の比重が高い同指数は、2022年の散々な結果から力強く回復し、2023年は極めて好調に推移しています。年初来35%の上昇は、定義によっては強気相場入りしたとも言えますが、史上最高値を更新するにはまだ15%近く上昇する必要があります。
回復基調にありながら、上昇余地が十分に残っている銘柄の1つが、クラウドソフトウェア企業のオクタ[OKTA]です。
オクタは独立系ID管理プロバイダーの主力企業です。同社の製品は、企業の従業員や顧客が必要なアプリにシームレスかつ安全にログインし、接続を維持するのをサポートします。
2024年1月期第2四半期(5―7月期)決算を受けて株価は跳ね上がり、8月31日に13.5%上昇しました。売上高、利益ともに予想を上回り、売上高は前年同期比23%増の5億5600万ドルとなりました。成長に伴ってコスト管理が進み、調整後1株当たり利益(EPS)は前年同期の0.10ドルから0.31ドルに上昇しました。
強気相場は目前に迫っている
ソフトウェアセクターに属する多くの企業と同様に、オクタもバリュエーションが押し下げられ、株価は2022年を通して下落しました。オクタには独自の課題もあり、2021年5月に買収した顧客IDソフトウェア会社オースゼロの営業部隊の統合が難航していました。経営陣は、2026年度に売上高40億ドル、フリーキャッシュフロー8億ドルを達成するとしていた長期ガイダンスを下方修正しました。
好材料として、同社は営業部隊をめぐる課題を克服し、今では経営は順調です。株価は2022年11月の底値から2倍近くに上昇していますが、依然として2021年に付けた高値からは70%安の水準にあります。これは、業績が好調ならば、オクタの株価に上昇余地が十分にあることを示しています。
オースゼロの買収による影響が小さくなったことと、厳しいマクロ経済環境により、売上高の伸びは減速していますが、経営陣は、第2四半期にマクロ要因が安定したとの見方を明らかにしました。実際に、増収率は第1四半期の25%から第2四半期は23%と、小幅な減速にとどまり、成長率は安定しています。
トッド・マッキノンCEOは本誌の取材に対し、オクタの成長が抑制されているのは、マクロ環境の影響も一因である、と述べました。
新製品が成功を主導
マクロ環境の安定だけでなく、オクタは新製品からも恩恵を受けています。Okta Identity GovernanceやOkta for Global 2000に加え、第4四半期にはOkta Privileged Accessも提供を開始する予定です。
Okta Identity Governance(OIG)は、オクタの事業拡大と新規顧客の獲得に大きく寄与しています。OIGはトラックレンタル会社Ryder Truck Rentalsの客単価向上に大きく貢献した実績があり、オクタの主力製品として新たに導入する顧客が増加しています。決算発表の中でマッキノンCEOは、第2四半期に受注したOIG契約の約半分は、ライフサイクル管理やワークフローといったOIGの基本機能を一度も利用したことのない顧客からのものであったことを明らかにしました。
Okta for Global 2000は、企業が一元管理する部門と分散管理にする部門を柔軟に選択することができます。これは、マイクロソフトなど、柔軟性がなく、提供できるカスタマイズのレベルが低いIDプロバイダーに対するオクタの優位性となっています。
Okta Privileged Accessはまだオクタの成長に寄与していませんが、特権アクセスは市場規模が極めて大きい分野です。このサービスは、Okta Identity Governanceやオクタの幅広い従業員ID関連製品との連携も期待できます。
株価上昇が予想される理由
成長率が鈍化しているとはいえ、オクタは厳しい環境でも好調な業績を上げ続けています。会社側の今年度予想売上高に対する株価売上高倍率(PSR)は6倍と、バリュエーションは極めて妥当な水準です。収益性も大幅に改善しており、コストを管理しながら事業を成長させてきた実績を考えると、今後も改善が見込まれます。
オクタの株価が本格的に上昇するためには、マクロ環境の回復が必要かもしれませんが、マクロ環境はいずれ回復します。新製品の好調により売上高の成長が加速し、コスト構造が一段と効率化し、これまでよりも正当に評価されるようになれば、株価は上昇するはずです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、オクタの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフト、オクタの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。