東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて4日続伸となりました。27円高の32,361円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ安値に上げ幅を広げると9時20分過ぎに155円高の32,488円まで上昇しましたが、節目の32,500円を前に伸び悩むと9時50分前には46円高の32,380円まで上げ幅を縮めました。しかし、そこから切り返すと後場に入って一段高となり13時40分には359円高の32,692円まで上昇しました。その後は引けにかけて伸び悩みましたが、引き続き堅調に推移すると結局285円高の32,619円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が一時2.7%高となりました。車載半導体などの部品不足が緩和しているほか、国内外でハイブリッド車(HV)の販売が好調なことから2023年の「トヨタ・レクサス」ブランドの世界生産を過去最高だった2019年の905万台を大幅に上回る約1020万台とする計画を固めたと伝わったことで買いが優勢となりました。不動産運用のいちご(2337)も一時10.3%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済株式総数の2.65%に当たる1200万株、30億円を上限とした自社株買いを発表したことで買いを集めました。また、投資判断と目標株価の引き上げを受けてカルビー(2229)や牧野フライス製作所(6135)が高く、カルビーが一時4.7%高となり、牧野フライス製作所も一時7.1%高となり年初来高値を更新しています。

さらに東証グロース市場では太陽電池製造装置やファクトリーオートメーション(FA)装置などを手がけるエヌ・ピー・シー(6255)が16.5%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。太陽光パネルメーカー大手の米ファースト・ソーラー[FSLR]の工場向けにファクトリーオートメーション(FA)装置の交換部品や消耗品の販売が好調だったことなどで2023年8月期の業績予想を上方修正したことから買いを集めました。一方で三菱製紙(3864)が一時5.5%安となりました。八戸工場のボイラーで水蒸気爆発の事故が起き、設備復旧に2ヶ月程度かかる見込みだと発表したことから大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は285円高となりました。ADP全米雇用リポートで雇用者数が市場予想を下回ったことで連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が一段と後退し昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となりました。前場は節目の32,500円近辺で伸び悩みましたが、後場に入って一段高になると昨日に上値を押さえられた一目均衡表の雲の上限(32,600円)を小幅に上回って取引を終えました。しかし、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控えていることから引けにかけては伸び悩みました。その米PCE物価指数は日本時間の21時30分に発表となります。前年同月比で伸びが加速すると見込まれていることもありマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)