東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅反発となりました。291円高の31,915円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに257円高の31,881円を付けるなど朝方こそ伸び悩む場面がありましたが、9時50分頃から上げ幅を広げると11時10分前に532円高の32,156円まで上昇し529円高の32,154円で前場を終えました。509円高の32,133円でスタートした後場の日経平均は大きく押すことなく高値圏で推移すると大引け間際に581円高の32,205円まで上昇し結局545円高の32,169円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

一時146円台後半まで進んだ円安を受けて自動車株が堅調でした。マツダ(7261)が一時3.6%高となり年初来高値を更新したほか、トヨタ(7203)が一時2.2%高、日産(7201)が一時2.1%高、ホンダ(7267)が一時2.9%高、SUBARU(7270)も一時2.7%高となりました。鉄鋼向け石灰石が主力の日鉄鉱業(1515)が一時8.8%高となりました。新たな配当政策を導入し、2024年3月期の年間配当予想を従来の100円から132円に上方修正したことから大幅高となりました。東光高岳(6617)も一時5.0%高となりました。電気自動車(EV)の普及に向け政府が2030年までの充電設備の設置目標を従来の2倍となる30万口に引き上げる方針を固めたと伝わったことで急速充電器を手掛ける東光高岳に物色の矛先が向かいました。また、アマダ(6113)が目標株価の引き上げを受けて一時6.0%高となり年初来高値を更新したほか、ダイキン工業(6367)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時5.0%高となっています。

一方で東京電力の福島第1原発処理水放出後に中国では日本への団体旅行キャンセルの動きが出ているなどと伝わったことからインバウンド関連銘柄として百貨店株が売られました。三越伊勢丹ホールディングス(3099)が一時6.0%安、高島屋(8233)が一時5.3%安、J.フロント リテイリング(3086)が一時5.8%安、エイチ・ツー・オー・リテイリング(8242)が一時4.7%安、松屋(8237)も一時4.9%安となりました。さらに福島第1原子力発電所にたまった処理水の海洋放出に絡み中国で日本の化粧品の不買運動が出ていると伝わったことから資生堂(4911)やコーセー(4922)が安く、資生堂が一時3.3%安、コーセーも一時3.5%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は545円高となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が行われた米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を無難に通過し先週末の米国市場が反発したことから買いが優勢となりました。また、先週末に大きな下げとなった反動もあり上げ幅を大きく広げ5日移動平均線(31,989円)や節目の32,000円を回復しました。そのため警戒ムードがやや後退しそうで、明日も買いが優勢となった場合には本日引けで超えられなかった75日移動平均線(32,176円)や25日移動平均線(32,295円)を上回って水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)