5日移動平均線が75日移動平均線を下回るデッドクロスが発生

前回のコラムでは、「75日移動平均線を下回って戻せないようですと、5日移動平均線と25日移動平均線が低下して75日移動平均線を下回るデッドクロスが発生するとともに、33,000円から32,000円のレンジ相場を下放れることが視野に入ってきますので、買いポジションを持っている投資家は、損失の発生や拡大に注意したいところです」と解説しました。

そして、解説した通り5日移動平均線を下回ってから、5日移動平均線の低下が続き、75日移動平均線を下回るデッドクロスが発生しました。

また、25日移動平均線が緩やかな低下を続けており、株価が75日移動平均線上を回復できないようですと、25日移動平均線も75日移動平均線を下回ることが考えられます。その場合、上値が重たくなったり、株価水準がさらに切り下がったりすることが視野に入るため注意が必要です。

そのような中、8月22日の終値で下向きの5日移動平均線を上回って終えており、反発への期待が高まっています。

仮に5日移動平均線上を維持するようですと、5日移動平均線が下向きから上向きに変化するとともに、5日移動平均線がサポートになって反発が続き、75日移動平均線を上回ったり、上回ったまま維持したりすることが期待されます。

また、そうなれば下向きの25日移動平均線を上回ることも視野に入るため、反発が継続する可能性も出てくるのではないかと思われます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムの上昇が続くかが株価水準切り上げのカギ

続いて、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見るとどうでしょうか?

前回のコラムで、モメンタムの考え方からは「反発しているとは言い難い状況」と解説しました。結果は解説した通り、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方の低下が続くとともに、直近の低い水準を下回ったこともあって、株価水準は32,000円と75日移動平均線の両方を下回っているのが分かります。一方で、直近では2本線が過去の低い水準を下回った後上向きに変化して上昇が続いています。

そこで注目しておきたいのが、モメンタムの水準です。モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方の水準を見ますと、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインの下に位置しており、下落の勢いは弱まっているものの、上昇の勢いが強まるためには、0ラインを上回って維持する必要があるということが言えます。

そのため、今週は2本線の上昇が続き、0ラインを突破することが反発を継続するためのカギになるというわけです。

今週末にカンザスシティ連銀が主催する金融・経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演を行います。講演内容を受け、週初(8月28日)から東京市場に影響が出ると思われますが、このコラムを参考にし、売買判断に是非役立ててほしいところです。