◆きのうは敬老の日であった。お年寄りを交えてご家族で会食などされたかたも多いだろう。僕も娘を連れて母親のところに顔を出した。
「おばあちゃん、いま何歳なの?」
「今年で76になるのよ」
「へえ、けっこうなお歳だね」
母は今年で82歳である。
5、6歳 サバ読んだとて 大差なし (シルバー川柳)
◆敬老の日を前に総務省が発表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は3296万人と過去最高。総人口に占める割合は25.9%と、4人に1人が高齢者である。75歳以上は12.5%の1590万人で、8人に1人の割合。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、65歳以上の高齢者の割合は10年後に30%を突破し、およそ20年後には33%になる。3人に1人が高齢者となる世界がすぐそこに迫る。
◆そういえば数か月前に、75歳以上を指す「後期高齢者」という名称を「熟年高齢者」に変更するという話があったが、あれはどうなったのだろう。65歳から74歳までの「前期高齢者」は「若年高齢者」とする案を検討とも報じられた。「言葉遊び」との批判もあったが、確かに65歳から74歳までは「若年」、75歳以上で「熟年」というのは納得させられる。
◆アクティブ・シニア層の潜在需要は計り知れない。先日もラジオを聴いていたら「クルーズ・コンシェルジェ」なる職業の女性が、高齢者のクルーズ船の選び方について語っていた。「大型船は長さが300m以上あります。縦はエレベーターで移動出来ますけど、300mを行ったり来たりするのは結構大変です。お年を召されている方には、少量でクオリティの良いお食事を提供してくれる中型船がオススメですね」 こんな話が普通にラジオから流れてくる時代になった。
◆時間と金銭的な余裕があり、健康で体力的にも問題がない - 今後、そういうお年寄りがますます増えるだろう。歯止めがかからない社会保障費抑制の観点からも、元気な高齢者にもっと働いてもらえるよう社会の仕組みを整備するべきだ。もちろん、働くだけでなく、趣味もおおいにエンジョイしてほしい。クルーズ船や秘境への旅、いや、そのうち宇宙旅行にだって行くお年寄りが現れるだろう。
今年の『シルバー川柳4』、表紙に使われている作品はこれである。
あの世より 近い気がする 宇宙行き
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆