東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて3日続伸となりました。176円高の32,430円で寄り付いた日経平均は取引開始から1時間余りで285円高の32,539円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め11時過ぎにマイナスに転じました。しかし、15円安の32,238円で下げ渋ると持ち直し結局122円高の32,377円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表したレーザーテック(6920)が一時5.3%高となりました。半導体メモリー需要の落ち込みなどにより顧客の設備投資が停滞していることなどで4-6月期の受注高は前年同期比で10.5%減となりましたが、1-3月期との比較では73.3%増となり会社計画を上回ったことから買いが優勢となりました。第1四半期決算を発表したブラザー工業(6448)も一時16.6%高となり年初来高値を更新しました。中国経済の減速で工作機械の市況が悪化したうえ、新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要の反動減で家庭用ミシンの販売が減少したことなどで第1四半期の営業利益は前年同期比で12.0%減となりましたが、市場予想を大きく上回ったことで買いを集めました。上期決算を発表したイトーキ(7972)も一時17.2%高となり年初来高値を更新しました。売上総利益率の改善が想定以上に進捗していることなどで65億円とみていた通期の営業利益の見通しを75億円に上方修正したことから上げ幅を広げました。
一方で日本製紙(3863)が一時8.3%安となりました。原材料価格の高騰などを受けて製品への価格転嫁を進め採算が改善したことなどで第1四半期の営業損益は8億円を超す黒字に転換しましたが、通期予想に対する進捗率が3.4%に止まったことから業績の下振れを懸念した売りが出ました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は122円高となりました。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が物価の上昇率が鈍化すれば米連邦準備理事会(FRB)が来年に利下げを始める可能性があるとの見解を示したことで昨日の米国市場が反発したことから買いが優勢となりました。一時は280円以上上昇し節目の32,500円を上回る場面もありました。しかし、32,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと上げ幅を縮めわずかにマイナスとなる場面もありました。そのため上値の重さがやや意識されそうで、こうしたなかで25日移動平均線(32,611円)や一目均衡表の雲の上限(32,657円)を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、決算発表が本格化しています。本日も引け後にはダイキン工業(6367)やマツダ(7261)、ニコン(7731)、リコー(7752)、ソフトバンクグループ(9984)、キリンホールディングス(2503)、SUMCO(3436)、資生堂(4911)、ヤマハ発動機(7272)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)